あとがき

あとがき-解説

「モ」の連鎖をご拝読いただき、ありがとうございます。中の人、京田餅(キョウデンモチ)です。

 「モ」の連鎖は、モキュメンタリー作品を作ってみたいなという私の思い付きによって書き始めた作品ですが、モキュメンタリーになり切れなかったというモヤモヤが残る結果に...まあ、そんなことどうでもよいのである。なぜなら無料の小説だから。


 この作品では、「誰かが何かをしなければ、誰かはこうはならなかった」というものを一連の連鎖によって表現しています。

 読みながら感じた方もいるかもしれませんが、自販機を主軸としたお話と工場を主軸としたお話があったかと思います。つながっていないように見えるこの二つは、商品を通してつながっているわけです。

 あるサークルの500円における二回のなぞの500円の真実が、サークルメンバーに対して奢られた2杯分となります。この1000円のうちの500円をたまたま通りかかった自販機に入れてしまった。このことにより、自販機でお金探しをさせられていた彼が捕まってしまうという不運なことに。もとより、やんちゃな彼のカモだったわけですが、警察官のカモにまでなってしまうとは、不運なものです。

 500円を入れられたこの自販機は、夜の散歩を日課とする彼女がその日見つけたあの自販機です。販売されていた炭酸水は鉄分が豊富な感じがすると言っていましたが、その鉄分は人間の血液であることは理解できたかと思います。炭酸水を製造するS社は、工場勤務の彼の労働災害によっておきた血液の混入に対し、商品の自主回収を行うことで収めようとしました。また、清掃のアルバイトを閉鎖的な街で雇うことによって、工場の洗浄を行うこととしました。たまたま、Ytuberの彼によって発見され、実際にアルバイトをすることになったみたいですが、凄惨な工場の現場を見てしまい、トラウマを抱えることになってしまった。


 彼が500円を入れなければ。

 彼が彼に嘘をつかなければ。

 彼が不正にノルマを達成しようとしなければ。

 彼女があの夜、飲み物を買いに行かなければ。

 S社があの電柱で募集しなければ。

 彼があの日、アルバイトに応募しなければ。

 彼が大学から帰っていれば。


 彼が、1000円を奢っていなければ。

 彼女が彼を誘わなければ。

 彼女たちがドリンクを飲んでいれば。



 そんな、誰かの起こした何かが、誰かの人生を狂わせ、多数の不幸を生み、トラウマを生み、悲しみを生んでしまった。

 現実で起こるはずのないこのような一連の偶然が、この「モ」の連鎖によって起こってしまった。


 皆さんも生活の一つ一つの行動に注意を払ったほうがいいかもしれませんね。


 わたくし、京田餅は「モ」の連鎖ほか、「オムレット(完結作)」、「とある国の」、「どろぐらむ」といった作品も公開しています。

 小説の技法など、まだまだ未熟ではございますが、これからもよろしくお願いします。

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「モ」の連鎖 @kyodenmoti

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