仕事帰りに……
「今日も疲れた。家に帰ったら我が子が待っていると考えたら、うなだれてはいられないな。」
同僚とそんな雑談をしていたら、後輩が後ろから声をかけてきた。
「先輩!今日この後文化祭行きません?」
文化祭?工場勤めの私たちが文化祭に何の用があるのか。
「文化祭なんていきなり、どうしたんだい。」
「私の出身大学で今日文化祭があるんですよ。んで、そこで知り合いの後輩ちゃんがお店を開くっていうから、顔出しに行きたくて。」
たしかこの子は、近くの大学出身だったなということを思い出した。
「そんなに長い時間はいられないですよ?」
「大丈夫ですよ!顔出してすぐ帰りますから。」
「それならいいですよ。行きましょう。」
同僚と別れ、後輩と文化祭に行った。
後輩の後輩が開く出店では、ドリンクの販売がされていた。
「1杯500円!?高いな。」とつい本音が出てしまった。
「後輩ちゃんたちの分もおごってあげましょ!」
「折半だぞ。」
そんな感じで2000円を支払った。
後輩さんたちはドリンクを飲むのだろうかという疑問はしまっておいた。
そんなこんなで私たちは大学を出た。
その際に家の鍵を工場に忘れてきてしまったということを思い出した。私は後輩と別れ、一人で工場に向かった。
「誰もいない工場は寂しいものだな。」そんなポエムのような独り言を吐いては鍵を探した。
私の光はここで失われた。
息子にドリンク買ってあげればよかったかな。
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