第七話『犬の惑星-Planet of the Dogs-』

 犬面人けんめんじんになった〈ユメ〉は、ヒト並みの知能と、イヌ並みの身体能力を活かして、世界中の犬を引き連れて、ヒトに反旗をひるがえした。イヌたちは、〈ユメ〉によって、今までには持っていなかった知恵を与えられ、進化した。〈ユメ〉と進化したイヌたちは、ヒトを無差別殺傷し、ヒトが築き上げたものについても破壊の限りを尽くした。また、イヌ以外の動物に関しても、動物たち自身の意思はさておき、とにかく全ての愛玩あいがん動物が、ヒトの手から、コンクリートの建物から、見世物小屋みせものごやから、解放された。


 〈ユメ〉はに、"シーヴァ"と呼ばれるようになり、他のイヌたちにしたわれた。


 ヒトの文明は崩壊した。


 ヒトは、"シーヴァ"こと〈ユメ〉と、イヌとに、降伏した。


 ヒトは、首輪をめられ、限りある長さのリードを繋がれ、鉄檻という名の悪夢の箱の中で、一生を送ることとなった。


   〈了〉

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仔柴犬ユメと夢の箱 加賀倉 創作【書く精】 @sousakukagakura

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