第7話 俺達の物語はここからだ……!って、なんか複雑

「今回は穏やかな戻し方で助かったぜ」

 蓮飛はふうっと息を吐き出し、胸をなで下ろす。


「一件落着した所で、だよ。次は、どんなくだらないをやっていこうか?」

 刹がニコリと笑顔で三人を見渡した。


 その問いかけに、純は「何をやりましょうね!」と顔を輝かして答えた……が。他二人は苦々しい面持ちであった。


「まだやるのか?」

 恐る恐る海里が尋ね、「もう良くねぇか?」と此度の件で不憫を一身に引き受けた蓮飛が刹を宥める。


「甘いよ、蓮飛。海里。こんなので俺が終わる訳がないだろう?」

 まだやるよ。と、刹はニコリと目を細めて、きっぱりと宣言した。


「俺達の物語はここからだ、だよ?」

「……色々な意味で、嫌な文言だな」

 ボソリと海里が突っ込む。


「こんな俺達を読む人間は誰一人として居ねぇぞ。なのに、これからもやっていくのか?」

 最後の窘めとして、蓮飛が大仰に肩を竦めて突っ込んだ。


「勿論だよ」

 陳腐な言い分だなぁ。と言わんばかりに、刹は笑顔で彼の諫言をたたき伏せる。


「だからくだらない事を好き勝手やっていくんだ」

 刹はフフッと天使の様な柔らかい笑顔を浮かべて、悪魔の宣言をした。


「……まさしくあのさくしゃにしてこの子あり、だな」

 蓮飛ははぁっと呆れたため息を吐き出す。


「そうかもね」

 刹は端的にそれを受け流してから、「さぁ、そうと決まった所で!」と朗らかに手を打った。


「次は、どんなくだらないに興じようか! そうだ、俺版・かくれんぼとかはどう?」

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くだらない×ありえないに生きる男子高校生達のお話 椿野れみ @tsubakino_remi06

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