第5話 龍美の過去

今日は待ちに待った結婚式だ。

俺は中学生の時から付き合ってた紗奈と半年前に結婚した。

すごく緊張する。


最初は新郎新婦の入場。

まず新郎の俺が入場し、紗奈を待った。

俺はあえて当日まで紗奈のウェディングドレス姿を見ていない。

だから今日初めて見る。


扉が開いた。

紗奈のウェディングドレス姿を見た瞬間、俺は泣いてしまった。

とても綺麗だった。

泣かないようにしてたのに。


その後、式は大成功で終了した。

とても楽しかった。

今日のことは一生忘れることはないだろう。


二次会の後、俺は紗奈と二人で家まで歩いて帰っていた。

その時、前から男の人が歩いて来た。

その男は酔っ払っているようだった。

俺たちは気にせずその男とすれ違った時だった。


「おい!俺を無視すんのか!?」


その男に絡まれた。

せっかく楽しく帰っていたのに最悪だ。


「すみません。無視してるつもりはありません」


「俺が誰だか知らねぇのか?力喧道りっけんどう様だよオラ!」


俺らは一切悪くないけどトラブルになりたくないからここはしっかりと謝っておこう。


「本当にすみませんでした」


「謝れば済む問題じゃないんだよ!ヒーローに喧嘩売るとどうなるか思い知らせてやる!」


そう言うとその力喧道という男の腕は巨大なやいばに変形し、妻を斬った。


俺の能力は斬撃を飛ばすというものだ。

その能力を使うには刀を使わなければいけない。

だが刀は今家にある。

どうすることもできないが、俺はその時我を忘れていた。

殴ったが一切効いていなかった。


力喧道は笑っていた。


「これが俺の力だ!わかったか!?」


そう言うと力喧道は腕を振り上げた。

かわそうとしたが間に合わず、俺は左目を斬られた。


死ぬことを覚悟した。


「りゅ…うび」


紗奈はまだ生きていた。


「紗奈!」


「げ…ん…き…でね」


そう言うと妻は能力を使った。

妻の能力はテレポートだ。

人や物をテレポートさせることができるが自分をテレポートさせることはできない。

最後の力を振り絞り、能力を使って俺を家までテレポートさせてくれた。


俺は刀を持ってすぐに妻のもとに向かった。

だが着いた時にはもう遅く、力喧道はいなくなっていて、倒れている妻がいるだけだった。


すぐに救急車と警察を呼んだが、妻はその場で死亡が確認された。


後日、警察が家に来た。


「今回の奥さんの件は事故として処理します」


は?


「いや、なんでですか?どう考えても殺人でしょ!」


「いやー兄ちゃん運が悪いね。奥さんを殺したのはヒーローなんだよ」


俺は怒りで言葉が出なかった。

警察はそれだけ言ってすぐに帰った。

その日俺は誓った。

この国を壊す。



これが俺の過去だ。


龍美は話しながら泣いていた。

龍美の話を聞いているだけで、ヒーローと警察にすごくムカついた。

ヒーローだけじゃなく、警察も腐っていることがわかった。


そして次に朱凛が話し出した。

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ヴィランズ @kokushun

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