第6話 進展

「お、、お、ぼ、僕も、お、同じです。」


純子は驚愕した。

久しぶりに聞いた。"日本語"を。

話したい。この人と話したい。でも言葉が溢れてきて..

口があかない。..状況が把握できない。

同じ...つまりこの人もきっと"あっちがわ"から―。

「あ、あの、あなたも?」

男は純子に訊ねる。

「はい!私、青 純子です!」

男は泣き崩れた。どうしてだろうか、純子には到底理解できない。

この人はいつからいるのだろう。なぜ泣いているんだろう。

いろんな疑問が浮かんでくる。聞きたいことがありすぎるのだ。


 知らないうちに、カルムは去っていった。

男と純子、そしてこの子どもが家に残される。


 男が落ち着いたようだ。

って気まずいですねぇ..ハハ..。」

 その時純子は何の違和感も感じなかった。

「あの、あなたも”日本”から?」

純子は聞きたかったことを訪ねていく。

「えぇそうです。気づいたら森にいて、地面の中に..。」

驚いた。まったく同じだ。

「体感では1年ほど前なんですが、"こっち"には日付とかいう概念がなくて。」

「そうなんですね。私も一週間前くらいにこちらに。いったい何なんですかねここ。」

「私もよく分かっていないんですけど、予想としては"あちら"の世界の裏なのではないかと踏んでおります。全く根拠のない予想ですけどね。」

気さくな人だった。

「それにしてもカルムは何処に言ったんですかね」

「え、ここはカルムの家じゃないですよ。」

「d,どういうことです?ここで、暮らして..。」

「いやー本当かどうかはわからないんですけどね。

 おそらくここは私達のように"あちらから来た人"を保護するところなのではないで

 しょうか。」

そういうことなのか。純子は驚いた。これまで安直にここがカルムの家だと思っていたのだ。

 保護とはどういうことだろうか。

「え、保護って..。私達絶滅危惧種かなんかですか?推測するってことは他にも私達のような人がいるんですか?」

「いやーどうやら私が初めてだったようで..。私がこちらに来たときは随分焦っていましたね。どうやらこの世界の人はみんな基本優しくて、こうして生きていられることに感謝ですね。」


 純子の目には耀ひかりが灯っていた。

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