Scene16 神似は現実を突きつけて、警鐘を鳴らす
「大活躍だったようじゃないか、〈
事件解決から一週間後、
あれから、
彼女は今も意識不明の重体で、目覚める気配はないそうだ。
生命維持ができているだけ、まだよかった、と私は思うことにした。
風の噂で聞いたところによると、
あんな男でも、少しは
今回の事件では、顔を合わせる機会こそなかったが、いずれ彼とも会ってみたいものだ。
「それで、現状はどうなっているんです?」
ロゴス様は静かに尋ねる。
「どうもこうも、
「それは無茶でしょう。
ロゴス様が指摘するが、
「死人に口なしだよ。密室の謎は解かれたんだ。トリック犯罪が
「そんなの、乱暴すぎますよっ!」
私は拳をぶんぶんと上下に振って、憤りを表す。
ロゴス様は
「残念ながら、あり得ないとは言い切れないね……。最近の犯罪数は異常だ。今はまだなんとか
「ところで、〈
「動機、ですか。それは、
ロゴス様は確認する。
「推理とは
「それで構わないよ。公的な解決ではなく、私の趣味だ」
ロゴス様は小さく溜め息をついた。
「……僕の考えはこうです。
「えっ、えっ、えええええっ!?」
私は思わず叫び、椅子を揺らして立ち上がる。
「それってどういうことですかっ!?」
「あくまで想像だよ。無責任な机上の空論であって、推理ではない。ただ、
ロゴス様は淡々と語る。
「それに加えて、
信じられない。私は
「なるほどな。小説家としての
自分が書いた小説を
彼女はただ、
――
それはもしかしたら、最初はただの
「ロゴス様の
私は二人に
「いや、どうだろうな」
答えたのは、
「見方によっては『
「……後味の悪い結末だね。結局、
ロゴス様がぼそりと呟いた。
「後味がよく終わる殺人事件なんて、
その言葉は、大人として正しい意見を言っているのかもしれないけれど、私にはなんだかとても嫌な響きに感じられた。
「それにしても、一方的な愛ってのは怖いもんだね。そうは思わないか、〈
「何を言いたいんです?」
対照的に、ロゴス様は無感情な態度で応じる。
「別に言いたいことなんて、これっぽっちもないさ。今回の事件が
私がロゴス様に対して、一方的な愛を押し付けるとでも思っているのだろうか。心外だ。
「それじゃあ、私はそろそろ失礼しよう。お互い、多忙な身だからね」
そして、
「
ロゴス様が
私にとっての
『現実なんてそんなもの』だとか、希望のない言葉は吹き飛ばしてしまいたい。
私はそう思って、自らの両頬をばちんっと叩いた。
この痛みが、きっといつか私を
――――
闇に刺された男の密室 葉月めまい|本格ミステリ&頭脳戦 @Clown_au
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