第3話 とある生き物の世界花畑計画



 そこは、花が生きやすい世界。

 そこは、花が逞しい世界。

 ある時、花は世界の王になろうと決めて、他の生き物を蹂躙し始める。



 花壇の花が増えた。


 面白いことが起きた。


 何もしていないのに。


 また花壇の花が増えた。


 数日すると、自然に増えるようだ。


 もっと時間がたった、花がどんどん増える。


 最初に花が増えた花壇は、花だらけで見えなくなった。

 一面花畑だ。


 不思議だったけれど、綺麗だったから不都合などなかった。


 花はそれからもどんどん増え続けた。


 やがて、全てが花になった。


 全ての地面が花であふれた。


 何もかもを、花で覆いつくした。


 花はにこにこ笑うようになり、私に話しかけてくる。


 猫の鳴き声で、犬の鳴き声で、蝉の声で、人間の声で。


 私はそこで思った。


 もしかして、未知の病で生きとし生けるものが花になってしまったのではないだろうかと。


 ずっと家の中から出なかった私は、だから無事だったのかもしれないと。


 私が手を見たら、そこには葉っぱが生えていた。


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リィズ短編集 忍び寄る恐怖 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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