第2話 変な影



 影の国。


 影の世界。


 影は人の良きパートナー。


 人は影を操り、相談し、愛し、絆をはぐくんだ。


 しかし、その国には、影を呪う道具がある。






 道端に変な影があった。


 人間の影だ。


 でも、人間はいない。


 なぜ、影だけがあるのだろう。


 周囲を見回すと、ハサミがおちていた。


 そのハサミは真っ赤になっていた。


 人影の足元も真っ赤になっていた。


 私はハサミをひろってみる。


 影に「なんだろうね、これ」と相談しながら。


 影はおびえていた。


 今すぐ捨てたほうが良いと言っていた。


 でも私は好奇心にまけて、それを手にし続けた。


 すると、手が勝手に動いて、ハサミで影をきりはじめた。


 私にくっついている影を。


 影は最初は嫌がっていたが、ハサミを受けいれて、私と切り離されるのをよろこんだ。


 切り離された影は、私の知らない変な影になっていた。


 影は、人間がいなくても、生きていけるようになった。


 人間がいなくても、存在できるようになった影は、私を食べる事にしたらしい。


 私は逃げたけれど、すぐに追いつかれてむしゃむしゃと食べられてしまった。



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