この人生が全部、夢だったらいい。無気力で受動的な俺には、幸せになる資格がない。そんなふうに生きていた彼は、明るく正義感の強い橘さんに出会う。「彼女はきっと、誰かの人生の主人公やヒロインになれる人間だ」と思う佐藤。そんな時、恋人から別れの一文を突きつけられて……どこまでが夢で、どこまでが現実なのか。全く感動のない無気力で乾いた描写と、生々しいほどの衝動が描かれた描写、ただ幸せな描写。あなたは、どちらを「現実」と思い、どちらを「夢」だと思いますか。
短編作品でありながらここまでの満足感はなかなかありません。最終話は特に凄いので是非読んで欲しい作品です!
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ホントにラストの一言でゾッとしました……夢を見ていたのは誰?どこからが本当でどこからが夢なのか……主人公目線で進む物語に呑まれてラストに辿り着いた時……『え?』と思うこと間違いない!この言葉の意味、知りたくないですか?さあアナタもお手にとって確かめてみませんか?
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読んだ直後で言葉にできません。なんか「ふぉおおおおお」て感じです。皆さんもお読みください。こうなりますから。真面目になります。これが夢である、と人間はいつ気づくのでしょうか? 今見ている世界は本当に現実?本当にそうですか?そんな答えのない問答やふわふわとした感覚を、この作品は与えてくれます。夢と現実の狭間をうまい具合に濁していて、とても芸術性を感じました。
何事にも受動的で、誰かに言われた指示を言われた通りにこなすことしか出来ない男の人生を描いた作品です。男は否定できない自分が嫌いだった。自分の人生全てがやり直せたらと思っていた。そんな男が悪夢の最後に気付いた幸せ。あの夢は覚めて良かったのか。悪夢の世界に囚われていた方が幸せだったのでは。そんな多くを考えさせられる作品です。ぜひ読んでみてください。
丁寧に描写される現代ドラマに織り混ぜられる、虚ろな夢。前半と後半のギャップが素晴らしい作品。ただの日常を描いた物語だと油断していると、間違いなく衝撃を受けるでしょう。作者のセンスが光る、考察しがいのある一作です。ありふれたストーリーに飽き飽きしている方に、強くオススメします。