I think of you as my hair dances under the cherry blossom tree.

ぞーすい

1

 自分には一生届くことのできない世界だと思っていた。

生涯関わらず,いつかその事を忘れて,そして死んでいく。

そう思っていた。

いや。

それ以外を考えようとしないでいた。

でも今僕の前に立つ貴方は紛れもなく自分の憧れであり,

頼りないのに大きな背中に何故か安心してしまう。

ふとした瞬間に香る桜の匂いに温かさを感じ,春の風に靡く髪さえも美しく思える。

かつての記憶が思考を停止した脳内にフラッシュバックする。

ずっと貴方の背中を追いかけてきた。

ずっと貴方に振り向いてもらいたかった。

そして自分を認めて欲しかった。

そんな一心で頑張ってきたこの3年間は長いようで短かった。

ひたすら学んだ。

ひたすら鍛えた。

そして誰もが憧れる存在になろうと努力した。

でもやっぱり自分には重いもので,すぐに投げ出しそうになる。

そこで貴方と再会する。

貴方は言ってくれた。


『よく頑張ったね。』


頬に涙が伝うのを感じた。

やっと追いつけた。

やっと振り向いてもらえた。

そして自分を認めてもらえた。

それが何より嬉しくて,少しだけ不安になる。


『君も立派な斬人キリビトだ。』

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