天使のクロと重病の女の子コハク…。
平気で嘘をつくクロに課せられた命令は「嘘をつかない事」、「1週間後に亡くなるコハクを看取る事」。これが出来なければクロは永久に消滅させられる…という所から物語が始まります。
その中でクロ、コハク、コハクの家族、担当医…等の「本音と立て前」、「嘘と真実」が描かれるのですが、死を目前にした少女の前で繰り広げられる「本音と立て前」、「嘘と真実」が本当に切ないのです。
それらがシーソーの様に繰り返されて揺れ動く度に、読者の心をバシバシ叩いて突いてくるのです(>_<)
終盤は素晴らしいストーリーに泣いてしまいました。
感動の名作、オススメします!
天使のクロは、とっても嘘つき。
ある日、それを見かねた上司のサリエルから、「嘘をついてはいけない」と命じられたうえで、人間界に行くように命じられます。
クロに課せられた任務は、死期の近い少女・コハクの最期を看取り、その魂を導くこと。
しかし、これまで嘘ばかりついてきたクロには、その任務は簡単なことではなくて……?
「嘘」をメインテーマの一つに扱った本作ですが、児童向けでありながらも「誰かを救う嘘があれば、誰かを傷つける本当もある」という、大人になってもなかなか気付けないようなことを思い出させてくれる作品となっています。
クロくんの葛藤やコハクちゃんの死生観の揺らぎなどを経て、クロ君の任務である一週間が過ぎるその時、二人を待ち受ける結末は――?
ほのぼのとしてあたたかく、ちょっぴり苦しくて切なくもあり、思わず涙してしまうこと必至の一作です。
誰もが知っていて、本当は知らない別次元の存在。
その名は、天使。
「……一度くらい、聞いたことあるよね?」
それでね、天使の住む天上界と呼ばれる世界。
人類でも空想上の生き物であるとして認識されていた天使は、実は本当に存在していて、その世界で生きる少年の天使がいたんです。
主人公の名前は、クロさん。
彼は有名な天使だったの。
なぜ、有名なのかって?
それは、彼が「嘘」をつく天使だからです。
正しい道を歩み、導かなくてはいけない天使の中では「異端」とさえいえるクロさんはとうとう、天界の処刑人サリエルから罰を受けることとなったの。
その罰とは、二度と嘘をついてはいけないこと。
嘘が大好きなクロから言わせれば、それはかなり重い罰だった。
さらに、一度でも嘘をついた場合は「消滅」してしまうというおまけつき。
消滅とは言葉の通り、死と同様であり、存在そのものがなくなってしまうということ。
だけど、サリエルには考えがあるようで、クロさんに”清きよき魂を看取り導く”天使にはお決まりの簡単なお仕事を依頼してきたの。
「……死にゆく者の最期に付きそう、それは簡単なお仕事なのでしょうか?」
私は疑問に思いながら、ページをめくります。
そして、ある少女のもとへ行ってもらい彼女の願いを一つ、なんでもいいので叶えてくること。
サリエルは彼女の願いを叶え、無事看取ることができたら『二度と嘘をつくな』という罰は取りさげてあげるというのですが……。
「……これって」
私は、一つの不安を予感しながらクロさんの立場になって読み進めました……。
そして、彼女と出会うのです。
少女の名前は、浅羽コハク。
嘘つきの天使クロは彼女との出会いで、何を感じ、何を思うのか……。
彼女が願うただ一つの願い、それは……。
「こんなことって……っ」
私は、彼らの物語をどう伝えればいいのか、分からなかった。
彼らの幸せの形は一体どうなるのか、目が離せなかった……。
企画者:白雪❆より(柴藤綾乃ちゃんになりきってのレビューです!)
https://kakuyomu.jp/works/1177354054890496953