『嘘』から始まる、優しい絆の物語

天使のクロは、とっても嘘つき。
ある日、それを見かねた上司のサリエルから、「嘘をついてはいけない」と命じられたうえで、人間界に行くように命じられます。
クロに課せられた任務は、死期の近い少女・コハクの最期を看取り、その魂を導くこと。
しかし、これまで嘘ばかりついてきたクロには、その任務は簡単なことではなくて……?

「嘘」をメインテーマの一つに扱った本作ですが、児童向けでありながらも「誰かを救う嘘があれば、誰かを傷つける本当もある」という、大人になってもなかなか気付けないようなことを思い出させてくれる作品となっています。
クロくんの葛藤やコハクちゃんの死生観の揺らぎなどを経て、クロ君の任務である一週間が過ぎるその時、二人を待ち受ける結末は――?

ほのぼのとしてあたたかく、ちょっぴり苦しくて切なくもあり、思わず涙してしまうこと必至の一作です。

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