あの子がいれば、幽閉生活も退屈しない?
- ★★★ Excellent!!!
王の私生児であるシリウスは、その王が崩御した後別の者が王位を簒奪したことにより、幽閉されながら暮らすことに。
私生児とはいえ王の子として生まれたにも関わらず、いえ、王の子として生まれたからこそのこの扱い。その境遇にさぞかし嘆いているかと思いきや、そんな幽閉生活の中にも、楽しいことがありました。
それは、幽閉されている塔に何度も訪ねてくる少女ユディット。
宮中伯の娘でありシリウスの事情も全て知っている彼女ですが、そんなお互いの立場なんてきにせず入り浸り。それどころかシリウスの部屋には彼女の私物が溢れ、本や置物や案山子が置いてあります。
なんで案山子があるのかって? ユディットが槍の訓練に使うのですよ。
宮中伯の娘がなぜ槍の訓練を? それがユディットなのです。
そんなユディットがいれば、灰色の幽閉生活もあっという間に輝きます。
彼女に振り回されながら時に溜息をつき、時にドギマギだってするシリウスに、ニヤニヤが止まりません。
ユディットに振り回されるところは笑えますし、そうかと思えば、イチャつくシーンは、当人たちがどれだけ意識しているかはしりませんが、甘いのなんの……
途中、きな臭い陰謀だって出てくるのですが、そんなもの吹っ飛ばして、二人でとっとと幸せになってしまえ!
そんな読者の思いは届くのか。
幽閉生活だって、大切な人がいれば光り輝くのです。