運命に抗え!

本レビューを書いている2024年11月30日現在、本作は【07-2】まで公開されたところです。連載途中であり、結末までに評者とは違う狙いにそって進むかもしれません。外れましたら早とちりをお笑い願います。

多くの物語でヴィラン(悪役)が影を背負う第二の主役であるのと同様、本作も敵役が影の主役と言えます。

その人物が背負った運命は、作品を読んでお確かめいただきたいのですが、人の身には過酷なものが続きます。受けたものだけを見れば同情も生じます。しかし、当人が世に復讐するかの如くに振る舞った、その数々が、同情を吹き飛ばし怨嗟を生みます。

すると主人公である姫が背負うものは。美しすぎる故に国を傾けると疎まれ、婚儀がまとまり輿入れすれば心臓が止まるような仕打ちを受けます。これは酷い、酷すぎます。

運命が酷いからといって、その後にどうすればいいのでしょう。鬼道に墜ちれば敵役と同じ。彼女は、しかと前を向きます。「美貌」でなく「美しい人」とは彼女のことを言います。

そして彼女に前を向かせるための力添えをするのは絶世の武人。「美女」ではなく「武人」に「絶世」とは奇妙な言いようですが、彼にはその形容が相応しいです。理不尽をへし折る力と、道を誤らぬ見識。これ以上頼れる者はおりません。しかし個人が万能であると話が容易に成りすぎます。これから、いかように進むのか。目が離せません。

誰もが運命に抗えるなら、皆様が本作をお読みになるもならぬも自由です。ただ、読んだ方が得だと申し添えます。