幻想、不条理、そしてミステリーと、強烈な余韻とインパクトを持った作品

 幻想的、かつダークな魅力を持った一作でした。

 主人公である『僕』は、ある日に妹が友達の『ユノちゃん』をうっかり殺してしまったのを目にする。
 仕方なく妹と一緒に『ユノちゃん』を土に埋めようとし、遺体が眠っている白雪姫のように見えると感じる。

 その先で『僕』が唐突にある行動を取ったことにより、物語が一変します。

 その後の展開は『ホラー』ならではの不条理さが見え、とにかく色々と考えさせられる構成になっていました。

 乙一『夏と花火と私の死体』だったり、京極夏彦『厭な扉』だったり、ホラー映画の『ジェーン・ドウの解剖』だったり、ホラーの名品とされる何編かを彷彿とさせられる雰囲気もあり、ホラー好きとしてとても楽しめる作品でした。

 ラストの描写は「これは、こういうことだったのかな?」と考察させられるものがあり、読み終わった後もしばらくこの作品のことで頭がいっぱいになるような仕上がりとなっていました。

 とても読み応えのある作品です。是非、多くの人に読んで頂きたいです。
 特に、『考察好き』の方は必見です!