神は優しくない。けれど、どこか憎めない。

「罰当たりだな。これは君、死んだね」
「別に良いよ。ちょうど、死にたかったところだから」

自身の運命を掻き回した元凶の祠を壊した小夜。
だが土地神――暁は気まぐれで、小夜を振り回す。感情が読めない暁の奇行に怯える小夜。だが帰る場所がない小夜は、暁のところに住まわせてもらうことになる。
実は暁は、うかつにも小夜に神力を与えてしまった。神は神力を与えてしまえば、責任を取らなければならない。
そのことは明かさず、暁は小夜にこう告げる。

「小夜、君はどちらになりたい? 神(わたし)の生贄か──それとも、花嫁か」

暁の気まぐれ翻弄されながらも惹かれる小夜と、心の中で言い訳をしながら小夜に触れる暁。
だが小夜は、暁がなぜ求婚を迫ったかを知ってしまい…。

「自分が愛されるなんて思い上がってはいけない」と、自身の恋心を抑え込む小夜。小夜に様々なものを与えながらも、「人に本気で恋することなどあるか」と言い訳を続ける暁。

神は気まぐれで、冷徹で、助けを求めても優しさなどは持たず、けれどどこかあたたかく憎めない。

力の差がある神と人の恋の行方は、どうなるのか。

二人の丁寧な日常の積み重ね、すれ違う二人の想いがジリジリと来る物語です。
あと私の推しは蜜さまです。

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