これは祈りの物語

舞台はフランス・パリ。場所だけは私たちの知る世界と似ているようでも、そこに生きる「存在」は決定的に違う世界観。これは架空の世界の物語なのか。それとも……?


一人の少年を中心とした群像劇に見えるのですが、常にふわふわとした不安定感が漂っています。登場人物たちでさえも世界の基盤を掴みあぐねているようなのです。
様々な立場の視点で語られ、考察される世界の成り立ち。過去の悲劇。未来の救済。不思議な世界で生きる彼らに共通しているのは、皆が何かを願い、祈るような希望を抱えていることでしょうか。
誰もが何かを祈らずにはいられない、そんな姿が美しく描かれた物語です。各所で少しずつ明らかになる真実にもびっくり!


どうか最後まで読んで、これが何の話だったのかまで見届けていただきたい。この読後感を味わって欲しい! そんなおススメの作品です。

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