再会の約束

リラックス夢土

第1話 再会の約束

 私には二歳年下の幼馴染の男の子がいた。

 その子とは家が隣り同士。


 だからいつもその男の子と遊んでいたの。

 彼は私にとても懐いて一緒にいるととても楽しかった。


 小学4年生になると私は彼のことが好きだと自覚した。

 でも恥ずかしくてそのことは秘密にしていたの。


 それに子供の頃の二歳の歳の差は思ったより大きかったみたい。

 私が彼に恋をした時は彼はまだ小学2年生だから彼は恋というものが分かっていない様子だった。


 それでも私は良かったの。

 小学校から帰って大好きな彼と遊べれば。


 でもその幸せな時間はある日突然終わった。

 彼の両親が離婚して彼は引っ越すことになってしまったのだ。


 別れの日、彼は泣きながら私に言ったわ。

 「僕は大人になったらアカネちゃんに会いに来るから大人になったらずっと一緒にいて」って。


 それから月日は経っても私は彼との再会の日を楽しみにしていた。

 中学生の時に同級生の男子から告白されたけど私はそれも断ったわ。


 だって私には幼馴染の彼がいるもの。

 いつか私に会いに来てくれる彼を待って、待って、待って……


 私は社会人になった。

 自宅と会社の往復と仕事の残業で疲れ果てていた私はこれ以上は無理って思って駅のホームから線路に足を踏み出そうとした。

 そしたらすごい勢いで腕を引っ張られたの。


「何をしてるんだ! 死ぬ気か!」


 私は自分の目を疑った。

 だってそこには私の幼馴染で初恋の相手の彼がいたから。


 ああ、ようやく会えたのね。

 彼は約束通りに私を迎えに来てくれたんだわ。


 すると彼の後ろから女性の声が聞こえた。


「ちょっと! 無茶しないでよ! あなたまで巻き込まれたら私は新婚でいきなり未亡人になっちゃうじゃない」


「ああ、ごめんね。優子。この人が飛び込もうとするからさ。大丈夫だよ、俺が優子を置いて死ぬわけないだろ」


 電車が駅のホームに入って来るのが見えた。

 私はようやく再会できた愛する彼の腕を掴むと一緒にホームから飛び降りる。


 優子と呼ばれた女性の悲鳴を聞いたような気がした。


 いい気味だわ。

 彼は私のモノだったのよ。

 約束通りに再会できたんだからこれからは私と彼は永遠に一緒にいるの。

 だって彼が私に「ずっと一緒にいて」って言ったんだから。


 電車の急ブレーキの音を聴きながら私はギュッと彼を抱き締めた。


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