第8話 終わりの掟

月日は流れた。


「なあ、

主人公が転生してからどの位経ったんだ?」


「もう5年程です。随分経ちましたね。」


「その間主人公は何をした?」


「冒険者になり学園に入りました。

そして今は何をするでもなくこの世界で生きています。」


「そうか、もう作者も気付いただろうか。」


「流石に気づいたでしょう。

この物語に終わりが無い事に。」


「ああ、あの作者でも気づいたな。

しかしそれでも気付いていないことがある。

それは、

物語は始めるのは簡単だが終わらせるのはそれよりもはるかに難しい、

という事だ。

それが証拠として未だに作者は作品を完結させた事がない。」


「それに関しては作者は一生気付きませんよ。

何せ今度は令嬢物をやるそうですから。

この世界でね。」


「そうか、またか。

だが、いつか気がつくといいな。

じゃないとこれまでの主人公達が可哀想だ。

これじゃただの作者のおもちゃだ。

最初は楽しく遊ばれるが飽きられると一生

おもちゃ箱にしまわれる。」


「そうですね。

でも僕は割と今の生活は好きですよ。

前の世界のよりもね。」


「そうか、お前がこの世界に転生してから大分経ったな。」


「もう前の世界よりも長いですよ。」


「最初はお前も他の主人公と同じで自分の絶大な力を過信して傲慢の限りを尽くしていた。

だが、お前が主人公の小説が飽きられ新しい主人公が来た時お前は気づいたな。」


「ええ、この世界がどうしようもない虚構の

世界だとね。」


「これからも変わらず私達は読者のためこの虚構の世界で偽りを演じ続けないければならないな。」


「仕方がないでしょう。それが全ての小説の掟です。」


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異世界の掟 再々試 @11253

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