ゴミ
なゆお
ゴミ
「もう我慢ならない!」
彼女が放った言葉はそこの高級な料理や素晴らしいが粗末な物になってしまうくらいのヒステリックな声と言葉に周りの客は怪訝な顔をしていた。
「え、ええっと…」
それに対し彼はおどおどしていた。
「もう私達別れましょう」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
そうして彼は彼女の腕を掴む。
だが、
「ゴミが私に触らないで」
そうピシャリと言い吐き、帰っていった。
本当にゴミなのはどっちの方であろうか。
今ここにいる客全員に聞いたらきっと全員が彼女だと答えるであろう。
彼と彼女は付き合って5年程度の付き合いであった。
だが何故こうなってしまったのか。
そもそもの付き合った理由からダメだったかもしれない。
高校生の時にイケメンである彼から告白されたからであった。
彼女は別に彼の事を好きでは無かったが、
高校生からしたらイケメンと付き合うというのはステータスになる。
という理由であった。
そして高校を卒業し、イケメンと付き合っている。というのはステータスにならなくなった。それに彼は仕事であろうか、常に
「忙しい、忙しい」
と言いながら彼女に構ってこなかったのである。
そして、愛を求めた彼女は彼とは別に彼氏を作った。
彼氏は彼とは違い、優しく寄り添ってくれ、金もあり、沢山愛してくれる。
彼氏と彼、どっちを選ぶか。
その答えが冒頭のやり取りで分かるだろう。
彼女は愛する彼氏の元に行こうとする。
その足取りは何処か楽しそうで嬉しそうだった。
だがそんな彼女に絶望が降り注いだ。
愛する彼氏の家に彼氏がいなかった。
そして、スマホにある
彼氏からの最後の連絡。
『君が浮気しているとは思わなかったよ』
彼氏は彼女が彼と付き合っていることを知っていなかった。
そして彼氏は浮気を許しはしない性格である。
つまり彼女は彼氏に振られたのである。
だか、今日も彼氏にバレないように行動していたつもりだ。
なら何故?
その時、スマホから音がなった。どうやら誰かから電話がかかってきたらしい。
『こんにちは』
「こんにちは」
『貴方の2人の彼氏から相談を受けていましてね』
「はぁ…」
『今、貴方には多額の慰謝料などが請求されております』
「えっ!?そ、それはいくらくらい…」
『ざっと○○円ぐらいですかね』
「な、なんで!?」
0の桁を間違っていないだろうか。
そう思うくらいの金額だった。
『浮気に、慰謝料に、借金返済日も被ってますしね。知ってましたか?うちの会社では探偵事務所の他に金を貸したりする子会社をもってるんですよ』
「そんな…」
『そういうことなのでおじさんの世話とかにを取るのをお願いしてもらいましょうかね。あ、勿論釈放されてからですがね』
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」
そうして
おしまいおしま…
おや?
「あなたって本当に残酷よね」
「仕方ないだろ。アイツが俺の金を奪うし、それにブサイクになってきたからな」
「それって心?それとも顔?」
「アイツの全てだよ」
「あはは〜。可哀想〜!」
「そんな事言って俺より楽しでたじゃないか」
「まぁ、いいじゃん。今はそれよりもっと楽しいことしようよ…」
「分かったよ」
おっと…。本当のゴミはどうやら彼の方だったみたいですね。
ゴミ なゆお @askt
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