第8話 選んだ道
「荷物はこれで全部ですか?」
「……はい」
今日のうちに
――
だが、
付き合いの長い
「
少し思案して、
「……はい。私、行ってきます。長くなってしまったら、すみません」
「いえ、全然構いませんよ」
「
頭を下げてから、
向かうのはもちろん、地下室だ。
時を同じく地下室には、檻の中のシオンと、昨日同様上機嫌の
「待たせてごめんなさいね。……いや、あたしが謝る必要はない、そうでしょう」
「……はい、もちろん」
感情のこもっていないシオンの返事に、
「一晩待ってあげたんだから、もう決心ついたでしょう?あたしに、この家に仕えなさい」
シオンは、何も答えなかった。そのかわりに、魔術を使った。
作り出されたのは、西洋風の長剣。
そして、シオンは
「何よ、何がそんなに不満なのよ!それにそんなことしたって、あんたの剣があたしに届くことはないのよ!」
狼狽えながらも怒鳴る
しかし、シオンが剣を
くるりと、長剣の向きを
「ちょっと、なにして、」
――もう、これでいいんだ。
生きていても救いがないのなら、いっそ自死してもいいのではないか、と
だって、この提案を受け入れたところで扱いは良くないというのは
だからといって断れば、
ならば、自分だけが犠牲になればいい。
これなら、自分を気にかけてくれた
――ありがと、
「シオンさんっ!!」
「
「私には無理です、シオンを見捨てるなんて」
呆けて、シオンは剣を取り落とした。
「私、
「その必要はありませんよ」
凛と響いたその声の主は、
「なるほど、こういうことでしたか。
「ちょっと、このことはあんたに関係な、」
あわてて止めようとする
「当主を呼んできてください。今すぐに」
――優しいから忘れてたけど
「さて、今のうちにこちらも済ませておきますか。お二人に何があったのか、聞かせてくれませんか?」
シオンはそっと
その後の大まかな顛末だが、
悪魔に人、それも当主が自身の娘を喰わせようと仕向けた罪は重い。
だが、使用人としてではない。
ふたりが
『これからよろしくお願いします、
シオンはというと、
互いの存在に救われたふたりは少し前まで考えられなかった平穏を手に入れた。
これからはふたりとも、幸せを掴んでいく。
捕らわれ悪魔の世話係にされました 月宮紅葉 @Tukimiya-Momiji96
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