ダムキナの守護天使

　創造と豊穣の女神に守られ、祝福された都市ダムキナ。女神を称える四年に一度の大祭が、いま華やかに執り行われていた。
「つまんない～～～～～～」
　神殿に暮らす十歳の少女ベルは、危機の際に女神をその身に降ろして戦う『至上巫女』。六年前に宿敵ウリムを討ち滅ぼし、ダムキナに平和をもたらした立役者だ。民衆に大人気のベルだけれど、大祭中は儀礼ばかりで、実はぜんぜん遊べない……。
「ワガママばっか言うんじゃねぇ！」
「ふたりとも、外に聞こえてしまいますから……」
　そんなベルの横にいるのは、口は悪いが有能な剣士エアと、温和な性格の最強魔法士ラーム。『守護者』と呼ばれる専属護衛で、小さな頃からベルと一緒だ。
　山車に乗ったパレードから、地味な神儀、街の小神殿を回る儀礼と、大祭のスケジュールは盛り沢山。守護…続きを読む