雨の日は、ゆっくり歩く。そんな静かな時間が繊細な恋心を育てていく。本作は、吹奏楽部の少女・梨沙が、幼なじみの伊織くんへの想いを少しずつ自覚していく青春ストーリー。日常の中にある些細な瞬間が、どれほど愛おしいものかを改めて感じさせてくれる。部活の選抜試験、すれ違う想い、そして雨上がりの虹の下で交わされる言葉。そのすべてが心を温かくする。雨の日の静けさと、揺れ動く心情が見事に対比され、読後には爽やかな感動が残る。誰もが一度は経験したであろう“恋のはじまり”にとても尊い思いを感じました。
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