Episode.030 俺の国って決裁が積んでるよなっ?
(これもカリスマ性が、なせる
戦争は俺の提案に従い、捕虜の返還を
そして正式な
覇権帝国は戦争の
「あとは反逆者ワルダーの処遇であるな。貴国に於いて好きに処刑するも
皇帝カルロスは
「お、お待ちください、皇帝陛下。私は筆頭秘書官のエヴィルダークに、ただただ
ワルダーはこの
「お前が始めた戦争で、どれだけの戦死者が出たか分かってるのか! それもロレーヌ王国は小さな国だ。兵士一人一人がみんな
俺は腹の底からの
「そして、一度犠牲になってしまった人達の
最後は力なく、ただ本音が言葉として
「その上で皇帝カルロス殿に、この者の処罰を一任したいと思う。覇権帝国の法に照らして、処断してくれ」
俺は皇帝の顔を、
お互いの視線が
皇帝カルロスの指示の下で、
案内役として、パテックもまた
残されたのは俺とカレンとシャラクと、皇帝カルロスと貴公子ラインハルトの五名だけとなった。
「話は変わるが、キャサリン……いや、カレンよ。父の
皇帝カルロスは、カレンの顔とシャラクの顔をジッと
「はい、カルロス
カレンは短い言葉で、
「カレンよ。ならば今後ラウール殿のことを、
そして改めて俺の瞳を見詰めて、言葉を続けた。
「ラウール殿、このキャサリンと婚約し……いや忘れてくれ。改めてカレンのことを、よろしく頼む」
皇帝カルロスは、頭を下げていた。
その姿は
俺はその言葉に対して、力強く
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
皇帝カルロスはイースター砦から外に出ると、周りの風景を目に焼き付けるようにして言った。
「ラウール殿よ。自然も豊かで国民も活き活きとして暮らしておることが、手に取るように分かる。誠に
「
俺は力強く、皇帝カルロスに
「そうじゃ。もしも獣人の扱いに於いて、『深き森』に
「ご厚意、有難く
俺は短く答えた。
そうだ俺には、まだまだ遣ることがたくさん残されているのだ。
皇帝カルロスは、深々と
「それでは、ロレーヌ王国の若き王よ! いずれまた会おうぞ。アディオース・アミーゴ!」
別れの言葉を残して、皇帝は
後を貴公子ラインハルト
やがて覇権帝国皇帝カルロス
俺はその光景を、静かに見送っていた。
振り返ると、カレンがそこにいた。
「キャサリン公爵殿、これで良かったのか?」
カレンはその言葉の意味を、理解しているかのように答えた。
「アタシは、いつまでもラウール
いつしか覇権帝国軍の姿は、地平線の
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
その後のことを、少しだけ語ろうと思う。
王都に
人々は俺達の
(まるで
すると、隣のシャラクが声を掛けてきた。
「ラウール様、これが
「また
俺は久しぶりに、シャラクを
それでも
「それでも王都民には、本当に戦争終結のお知らせしか
俺は照れ隠しに、そんな風に
王都民の顔を一人一人
そんなみんなの姿に
カラーン、カラーン、カラーン……
中央広場
俺達は中央広場を抜けると、
◆ ◇ ◆ ◇ ◆
チュン、チュンチュン、チュン、チュチュチュチュチュ……
どこからともなく耳慣れた小鳥のさえずり?が耳元に
「もう朝か……」
薄く
「お目覚めに成られましたかな? ラウール様」
そこには、シャラクが控えていた。
「今日はいったい、どんな魔法を睡眠学習させたんだい?」
俺は重たい
「実は儂が若い頃にお世話になった、素晴らしい魔法がございましてのぅ。相手の服だけが透け透けになる魔法ですのじゃ」
「道理で珍しく、肌色成分の多い夢だと思ったよ」
俺は
「本来はこの魔法は、相手が武器を隠し持っていないか? 調べるために
「何でだ?」
「女性には夢と幻想が、あのコルセットの中にギュウギュウ
シャラクは、遠い目をしながら
(結局、欲望のままに魔法を使ったってことじゃないか?)
するとカレンが、ティーセットを両手にやって来た。
俺は素早く、枕を投げつけてみた。
それをカレンは『
(
「
カレンは何事も無かったように、サイドテーブルに置いて言った。
俺は朝のモーニングティーを、一口飲み込む。
きっと、今朝はフローラルティーか?
紅茶に、ローズオイルを垂らしたのか?
「うん。良い味だ」
俺は満足げに、カレンに向かって伝えた。
シャラクから薄手のガウンを受け取ると、早速執務室に向かう。
執務席には書類が、山のように
それにはちょっとした
やがて、静かに扉をノックする音が聞こえた。
俺は目線でカレンを扉口に向かわせると、外に聞こえるように応えた。
「おはよう、クリスティーナ。入ってくれ」
その言葉に合わせて、カレンが扉を開いた。
「おはようございます。旦那様」
クリスティーナが、静かに入室してきた。
そして、いつもの祝福の
(俺ってヤッパリ、この『祝福の
「旦那様の20歳の誕生祝賀の
そう! 眼の前に広がる書類の山の半分は、祝賀儀式関連のものだ。
こう何と言うか、誕生日はサプライズで
「わたくしも祝典の日を
クリスティーナは軽く口元に手を当てて、クスクスと笑って言った。
「そろそろ朝のミサの時間だね。行ってらっしゃい」
俺の心の中では、複雑な思いで
「それでは今日も、聖女の務めを果たして参りますわ」
クリスティーナは聖女らしく優しく微笑みながら、王妃らしく優雅にカーテシーを取り一礼して外出して行った。
昼を迎える頃になると、元気いっぱいな調子で扉をノックする音がする。
俺は執務の筆を止めると、扉口に控えるカレンに合図を送った。
シャラクは隣の執務席で、行政執行の補佐に
カレンが扉を開くと、いつもの様に妹のサーシャが入室してきた。
俺の座る執務机に近づくと、
「お兄様、あたしはお見合い写真なんて見るのも嫌ですわ!」
そう言うと真っ赤な舌を出して、ベェッ! っと
もはやミツコーシとか、パロッズとかの
(俺の国って決裁が積んでるよなっ?)
―― 第二章 【覇権帝国の侵攻】 完 ――
【2300PV感謝!】 俺の国って絶対に詰んでるでしょ? ☆弱小王国を建て直す若き王の奮闘譚☆ そうじ職人 @souji-syokunin
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
同じコレクションの次の小説
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます