第12話
夕食は俺が豆腐を食べたかったので・・・料理の名前がわからん。豆腐丼?
挽き肉をそぼろと同じ感じで炒めながら切った玉ねぎと木綿豆腐を投入。
蓋をして火が通ったら溶き卵をかけて完成。
豆腐から結構な水分が出るから水は入れなくていい。
絹ごし豆腐でもいいし、バラ肉なんかでもいける。まあその辺んは好みだ。
出来上がりはカツ丼や親子丼の具が豆腐になったと言えばわかりやすいだろうか?
よく母が作ってくれた料理だ。元々丼モノじゃなくおかずで出てたんだけどね。作り方知らずになんとなくやってみたら出来たので時々作ってる。
アルムさんら料理人さんたちにも味見してもらった。
豆腐もこちらには無いのだが、ウスターソース同様自分らで作ってみるとのこと。
アルムさんの舌なら大抵の材料はわかっちゃいそうだけど、にがりは難しいんじゃないかなあ?と思ってにがりのことだけ教えておいた。にがりは豆腐を固めるのに使うのだが、俺もよく知らなかったのでネットで調べた。海水から塩をとった残りの水のことらしい。この世界でも海水から塩をとっているそうだから手に入るだろう。
パンには合いそうもない料理なのでご飯も炊く。米は持ってきたササニシキだが、この世界にも米はあるそうだ。ファウとカムジも普通に食ってたしな。ただしヴェルズ王国では穀物の中の一つって程度で、あまり頻繁に食べるものでもないのだそう。
「じゃあユウキの国はお米が主食なの?」
豆腐丼?を食べながらファウが言う。
「そうだね。俺もパンより米の方が多いよ」
「わしもこれまであまり食ったことは無かったが、ぬしの料理は美味いの。この味ならパンより好みじゃわい」
「そういや日本酒は飲んだか?米の酒なんだが」
「そういわれてもどれがどれだかわからんわ」
そりゃそうか、異世界なんだし。
「一番デカい瓶の奴がそうだぞ。冷やしても温めてもイケる。俺は酒は冷やしてしか飲まんが」
「あれか、まだ飲んでおらんな」
「俺の好みで辛口の酒だ。本当は甘口なんかもあるんだがな。こうなるってわかってたらもっと積んでおいたんだがなあ」
異世界来るのがわかってたのなら持ち込みたいものはいくらでもあった。でもまあ俺は色々持ち込めた方だと思う。なによりネット接続出来るなんてチート過ぎるだろう。
「わたしも飲みたいんですけどー」
「じゃああとでみんなで飲もうか。風呂入ったらな」
「マジで?!」
思わず叫ぶ俺。
「おう、付き合い始めて10年はたつかのう」
カムジ、彼女いるんだって。
「すごく仲いいんだよお」
見た目おっさんなのに。いやそんなこと言っちゃ失礼だな。
「あ、じゃあ俺のせいで会えないじゃん!」
「少しくらい会えないくらいでどうにかなる仲ではないわい・・・美味いのこの酒」
「気に入ってもらえてよかった。ファウはどうだ?」
「美味しいけど酔うの早そう。潰れたらよろしくね~」
「男しかいねえんだから気をつけなきゃ駄目だろ」
「二人とも信用してるし」
「はいはい、潰れたら部屋に運んでおくよ、引きずって」
「そこはお姫様抱っこでしょお!」
やったことある人ならわかると思うが、よほど鍛えてないと軽い女の子でも抱っこするので精一杯、運ぶなんて普通は出来ない。
「あれは普通抱っこまでは出来てもそこから歩けねえからな?」
「わしはできるぞ?」
「俺は冒険者じゃねえ!じゃあカムジよろしく」
「今日は早めに寝ようかのう?」
「引きずり決定な」
「じゃあ結婚式までに鍛えておいてね♡」
「いつの間にか婚約してた!」
「ファウはよほどユウキが気に入ったようじゃな」
「出会ってすぐやられたからやり返してたんだけどね、からかうと可愛いから」
「はいはい、ありがとな」
元の世界じゃ若い子との接点は無い年齢だったから、ファウと絡むのは悪い気はしない。実年齢はすっげえお姉さんだけど。
「酒の肴になるような物はないかの?」
「そうだな、何か出すか・・・ってお菓子はまとめてファウにあげちゃったんだっけ。あれに一緒に入ってるんだ。ファウ、持ってきてよ」
何か作るにも食材は昨日のはほとんど料理人さんたちにあげちゃったし、今日のは宰相様にあげちゃったし。
「いいよー」
箱ごとファウに持ってきてもらう。
「まだチョコレート以外は開けてないよ」
俺は適当にポテチやせんべい、サラミやカルパス、チータラなんかを出す。
「そんじゃ改めてかんぱーい」
「・・・だから別に旅に飽きたわけじゃないんだけどね、でもしばらくはこっちにいるつもりで戻って来たんだぁ。だから気にしなくていいよ」
俺のせいで旅暮らしのファウが足止めされちゃうと思って謝ったらそんな感じらしい。カムジはしばらくここに缶詰になりそうだからと彼女に手紙書くとかで自室に戻った。見た目や雰囲気は全然そんなことしそうも無いが、意外とマメな奴なのかもしれない。
「そっか。こっちに家ってあるのか?」
「住むとこ探さなきゃって思ってたんだよ。だからちょうどよかった。しばらく一緒にいさせてね♡」
「俺が決めることじゃねーけど、多分そうなるのかな」
「ユウキともっと仲良くなりたいな♡」
なんかいちいち語尾に♡つけることが多くなった気がする。
「俺だってみんなと仲良くなりたいけど、ファウはもっと気を付けてほしいかな。何度も言ってるけど」
「何を?」
「俺も男だってこと」
今も同じソファで俺の左にピッタリくっついてる。キャバクラみたいに。
「嫌?」
「嫌じゃない」
多分ファウはある程度気を許した相手にはこんな感じなんだろうな。やたら距離が近い女の子っているじゃん?
「だったらよくない?」
「可愛すぎるから困るんだよ。俺も実年齢はおっさんだし、それなりに経験もあるんだけど、俺の世界にはエルフいなかったやん?俺からするとファウの可愛さは尋常じゃないんだよ。それと思考も若返った身体に影響されてるような気がして・・・」
手を出しそうで怖い。ガキじゃねーんだしヤったから付き合わなきゃいけないとか思わないし、女性にだって性欲はあるんだし、一度そうなったからって軽い女とも思ったりはしない。ただこっちの世界のことを俺はまだまだ知らない。男女の関係なんてなおさらだ。元の世界と同じことして後から問題になるのもマズい。
それに何よりも俺はファウのことが気に入ってる。まだ出会って間がないけれど、優しい女性だと思っている。いたずら好きなところも嫌いじゃない。そんなファウにいい加減なことはしたくない。したくないんだが・・・
ファウはニコッと笑って俺の手にしがみついてきた。
「俺の話聞いてた?って胸当たってるって!」
「ユウキ、元の世界とこの世界の男女の関係の違いとか考えてるんじゃない?」
「それもあるけど・・・」
「他には?」
「はぁ~、恥ずかしいんですけど」
「いいじゃん、2人きりなんだし、わたし言いふらしたりしないよ?」
ひっついてるから顔近いって!
「・・・わかった。俺はファウのことを人として気に入ってる。出会ったばかりでまだまだ知らないことだらけで好きとかはまだ無いけど。だからファウが傷つくようなことはしたくない。まあもしそうなってもファウなら俺より強いだろうから大丈夫だろうけど、何かをされかけたってことで心が傷つくこともあるだろ?」
ファウは一瞬びっくりしたような顔になった後、嬉しそうに俺にまたがって抱き着いてくる。
「わたしの方が強いってわかってるのに、わたしを気遣ってくれてるんだね。ほんっと可愛い!」
「だからマズいって!隣にカムジもいるんだし」
あと大人の男にとって可愛いは誉め言葉じゃねーぞ。
「でもユウキの、おっきくなってるよ?エルフだってせーよくあるんだぞ♡したくなるときあるんだぞ♡ファウちゃん、しばらく彼氏いなくてご無沙汰なんだぞ♡」
耳元でささやきながら自分の股間を俺のに擦り付けてくる。ファウさんエッロ!
「ねえ・・・わたしのも濡れちゃった・・・入れてくれないとおさまんないよぉ?」
女の子にここまで迫られたんじゃ・・・ねえ?
引っ越し先が山の中から異世界に変更になりました 爆滓 @U-J
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