第11話
皆で車の前に来たんだが・・・
「どうせ物が戻ることについて調べるのは朝までにやればいいんですし、その前に車について知りたいことがあれば、わかる範囲で教えますよ?」
わかる範囲でとは言ったが、元の世界のネットに接続できるからかなりのことがわかっちゃう。それと俺自身、自動車整備の専門学校卒だし。
「最初になのですが、部品はどうやって固定しているのでしょうか?」
「外からだとわかりませんよね。見てください」
俺は運転席のドアを開いて、ボディの外から見えない部分を指さす。
「こんな風に見えない部分で固定しています」
「なるほど・・・・この六角形の物で固定されているのですか?」
「そうですね。ボルトやナット・・・・ネジでもいいですが、そういったものはこの世界には?」
「無いですね」
あ、まだ無いんだ。
そもそも車のような複雑な構造の機械はまだこの世界には無い。せいぜい歯車の組み合わせだ。
工具を出してボルトを一本外して見せる。
「俺の世界では主にこのような物を使って固定しています。これは規格が統一されていて、それに合う工具があれば誰でも分解できます。俺自身、この車の整備はある程度は自分でやりますしね」
「この世界ではは溶接やロウ付けばかりだからの。木工なら木の組み方を工夫したりもするがな。この方法なら火魔法を使えない者にも可能じゃな」
「溶接ってもしかして魔法で?」
「そうじゃ。溶接、溶断、魔力が強い者なら少量の鋳造も可能じゃ」
俺も工業高校だったのでガス溶接やアーク溶接、鋳造も習ったが、魔法で出来たら楽だろうなあ。魔法が使えないのが残念だ。機会があったら見せてもらおう。
この日は主に足回りについての説明に終始した。
馬車なんかに応用出来るからな。エンジンなんかよりもすぐに使えるだろう。
それと・・・
「電気?ですか。この世界では使われていませんね。作り方もわかりませんし」
ヘッドライトやルームランプの説明しようとしたら、そもそも電気がわからないと。
一度簡単な発電機でも作って見せようか?
車からオルタネーター外すのも考えたけど、もっと単純な構造の方が理解しやすいだろう。電気作るだけならソーラーパネルもあるけど、最初に教えるモノじゃねーだろ。
「では電気については俺が簡単な発電機を作りましょう。それだと理解しやすいと思います」
ネットの通販が使えりゃ実験用の発電機キット買っちゃうんだが、それが出来ないので作るしかない。まあ材料さえあれば小学生でも出来る。あ、この世界じゃ無いかも?
「銅線・・・銅を細い糸のように加工したものってありますか?無ければそのように加工することは可能でしょうか?それと磁石が必要です」
「銅線?ですか・・・カムジ?」
「糸のように細くか・・・この世界ではそのような材料は使わぬのでな、難しいかもしれぬ」
ネットで調べてみよう。金型で順に細く引き伸ばして、その工程で硬くなるので一度過熱して柔らかくする・・・か。
「こんな工程だそうだ」
「金属を引き延ばすなど聞いたことが無いぞ。叩いて伸ばすのならわしらもやるがの」
「すぐに作るのは無理そうだな。車の部品外して使うか」
「急がなくて結構ですよ。他国の調査団がそろって本格的な調査を始める頃まででかまいません。銅線はこちらでも作れないか試してみましょう」
ん~、結局オルタネーターは外すことになりそうだな。あれをバラして使おう。
加工は・・・・・ああ、そばにドワーフがいるじゃん!
「カムジ、作る時は手伝ってもらえるか?」
「おう!モノ作りは得意じゃからな」
「頼む。じゃあ最初に言ってたことですが・・・」
「私共には車のことはわかりません。ユウキさんはどのような手順で行うか考えておられるのですか?」
「この車、こっちの世界で言えば荷車みたいなものなんです。荷物を運ぶのに特化した車。それに箱を乗せている状態です。なので最初は車本体と箱を分離して、どちらが元に戻るか確認しましょう。それがわかれば次は戻った方を分解して確認。その繰り返しです」
普通に考えたら車本体に戻るのだろうとは思うけど、一応やってみないとね。
多分戻る中心はボディかエンジンだろうと予想している。
「じゃあ始めましょうか。最初に箱の中の物、全部外に出しましょう」
みんなに手伝ってもらって荷物を降ろす。
「宰相様、この荷物、良かったら持っていきます?どうせ明日には元に戻るので」
いちいち全部俺が説明するのはめんどくさい。勝手に調べてもらって聞きたいことだけ聞いてもらおう。大雑把にどんな用途かの説明はしておく。物が戻る中心が持ってきた荷物の中にあるとは思えないから、渡しても大丈夫だろう。
「よろしいのですか?ではこちらで調べさせていただきます」
機械類以外のなんてことないモノでも、この世界の人からすれば宝の山。ただの風呂桶だって素材はこっちには無いだろう。因みにFRP製。多分アルミニウムもこっちには無い。カムジが知らなかったし、アルミの製作工程には電気分解がある。電気はまだこの世界じゃ使われてない。ビールの缶もお宝ってわけ。
ノートPCは渡していない。表示が読めるからと言って文字の入力は出来ないから。言葉や文章は翻訳されるが、文字単体はそうはならない。入力するには元の世界の言語がわからないと無理ってわけ。それに適当に触ってて秘蔵のエロ動画や画像を見られたら恥ずかしくてたまらん。ブックマークにもエロ関連はあるし。渡すのはこの辺消してからだな。
どのくらいの距離を離せば消費されたと判断されるのかも調べる。昨夜一番近かったカムジの部屋が直線距離で30mくらいか?なのでシェルと軽トラを15mほど離す。これで昨夜と同じだったら明日はもう少し近づけてみる。
さて、明日の朝どうなってるかな?
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