第2話 マラカイ 

フェルダイン王国とザルヴァ共和国、イシュガルド連邦はアストリア帝国に帝国に対抗するため、三国連合として手を組みアストリア帝国としばしば戦争を起こしていた。



アストリア帝国は隣国からの侵略を受け続けており、敵国が放つ異様な力を持つ軍勢により次第に追い詰められていった。その軍勢は、通常の戦士では到底対抗できないような異形の兵士や強力な魔導兵器を持っており、帝国の軍は次第に劣勢に立たされていった。

帝国の民が次々と犠牲になっていくのを見た皇帝は通常の手段ではこの危機を乗り越えられないことを悟り、強大な力が必要だと感じた。

帝国には「滅びの騎士が現れ、帝国を守る」という古い預言が伝わっており、皇帝はもちろん民も「滅びの騎士」の力を信じてやまなかった。



帝国の皇帝は魔術師の提案によりその魔物兵や魔道平気に打ち勝つため、古代より伝えられてきた「滅びの騎士」を誕生させることを決断した。



帝国の魔術師たちは、長引く戦乱の中で絶対的な力を持つ「滅びの騎士」の器になる者を探し始めた。ただ強力なだけでは制御不能になる恐れがあるため、その力を正しく扱える高潔な人物が必要だった。そこで騎士団のマラカイが選ばれた。マラカイは、帝国にとっての英雄であり、誰よりも民から尊敬される存在だった。マラカイは騎士団の中でも類まれな戦闘能力と揺るぎない忠誠心を持っており、帝国を守るために力を使う覚悟ができていると判断されたのだ。


魔術師たちは、マラカイの心の強さがあれば、どれほどの力を与えても制御できると信じ、彼を選んだ。


彼に施される儀式は、人間としての限界を超える強大な魔力を宿すものでしたが、その代償として感情や人間性が徐々に失われていくリスクがあった。



マラカイは、帝国に仕える騎士であり、優れた戦士として数々の戦功を立てていた。彼は帝国や民衆に対する忠誠心が強く、正義感に溢れた人物であり、戦場では勇猛果敢に戦いながらも、敵や味方を問わず命を尊重する心優しい一面も持っていた。


彼は、帝国の守護者として育てられ、帝国を守ることこそが自らの使命であると心から信じていた。彼は「滅びの騎士」という役目が、帝国とその人々を救うための唯一の方法であると考え、己の肉体と精神を犠牲にする覚悟を固めた。魔術師たちにとって、マラカイのこの忠誠心と使命感が、彼を「滅びの騎士」に選んだ理由となり、彼がそれに相応しい存在として確信しただろう。


打診された当初、マラカイは魔術師たちに対して一定の信頼を寄せていた。彼は、自らの信念と帝国への愛を胸に、魔術師たちが提供する力を頼る決意をした。しかし、彼の中には一抹の不安も残っていた。それは、「滅びの騎士」という力が自分を蝕むかもしれないという予感だ。彼は「滅びの騎士」としての力を得ることで、その英雄としての名誉を失い、怪物と化す恐れを抱いていた。この葛藤は彼を苦しめたが、彼は名誉や名声に囚われず、守るべきもののために自らを犠牲にする覚悟を選びとったのだ。それでも、帝国と民を救うため、犠牲となる覚悟を固め、魔術師たちの儀式を受け入れることにした。




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滅びの騎士~Knight of Doom @toumoro120

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