6.何度だって、違う夢を見る。
高熱が出ている時の肌は、空気に対してとても敏感で、ちょっとした冷感――例えば、まだ人肌に温まっていないシーツ――に触れるだけでも、全身に無数のナイフを突き立てているのではないかと思うほど鋭い痛みを伴う。
それが引き金となって、重くぬめりとした悪寒は連鎖的に広がり、やがて激しい手足の震えとなって、わたしの身体を支配する。
こうなったらもう、まともに立ってなんかいられない。
いかに素早く洗い立てのパジャマに着替え(柔らかい生地がいい)、布団へ飛び込み(温かいベッドがいい)、手足を丸めて目を閉じるかが重要だ。
先週の木曜日、出張へ行く朝、
「なんか調子悪いぞ……?」
で始まった身体の違和感は、
「あれ? これはまずいぞ……?」
夜になって激しい悪寒と倦怠感と頭痛となって爆発した。
不運にも、いつも携帯している頭痛薬(&熱さまし)をその日に限って忘れてしまい、治まることのない悪寒と頭痛になすすべもなく翻弄され、眠れない一夜を過ごした。
金曜日の仕事は頭を朦朧とさせながらもなんとか終えて、夕方、家に帰ってきて熱を測ってみると、39.3℃。
すぐさま病院へ行って検査を受けると、インフルエンザA型。
それから三日三晩の時を経て、ようやく身体の調子が少し復活し、今に至る。
あとは水曜日まで出社不可。在宅勤務。
高熱が出ると(特にインフルエンザなんかは)、薬を飲んでひたすら寝るしかないけれど、寝ては起きて、起きては寝てを繰り返すので、眠りがとても浅い。そのため、短編映画を観ているかのようにたくさんの夢を見る。
時折、夢なのか現実なのかよくわからないような状態に陥るけれど、この「薬を飲んで、あとはひたすら寝ていられる」っていう状況がとても好きで、こうして高熱を出すのもたまにはいいかと思ってしまう。
よくよく考えてみると、この時に見る夢って、安静を欲しているわたしに対して、寝ている間に退屈しないよう、もう一人のわたしが過去の記憶を掘り起こして、本当に短編映画を作って上映してくれているのでは……? なんて思ったりもする。
ただ、この間はやっぱり、ろくにご飯は食べられないし、仕事は止まるし、趣味や好きなこともできないし、身体も相当つらいけれどね……。
結局のところ、高熱を出していつも思うことは、
「健康って、かけがえのない財産だなぁ」
という一言に尽きる。
※
今日のお話は別のものを掲載予定でしたが、上記のとおり、インフルエンザに罹患してしまい、まだ身体が本調子ではないため、ここまでといたします。
皆様も体調にはお気を付けください。
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よりみちのウタ、探すたび。 月瀬澪 @mio_tsukise
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