第14話 私をどっかに連れてって

「うわ~ん!!!!!!」


蓮姫が、なぜか泣き叫んでいる。


「そらちゃんにデートに誘われたいよ~!!」


では、今回の話を終わりとする。


「おい、勝手に終わってんじゃねえ!」


蓮姫は、そらからデートに誘われたい。

できれば、そらに下心がある状態で誘われたい。

当然、そらが下心を持って蓮姫に接する事は皆無なのだが、

それを何とかしたいと考えている。


「そうだ、色気で誘惑するんだ!」


中身は女子のままだという事を分かっていながら、

無謀な挑戦を試みるようだ。


「そういえば、メイクもほとんどした事無いし、服も露出が多い物は着ないし、

これじゃ女として枯れているのではないか!?」


枯れているかどうかはともかく、蓮姫は露出高い=色気のある女という単細胞思考でどうにかしようと動き出す。


「で、では、胸の谷間が強調された服を着て、そらちゃんを悩殺するしかない!」


そこで、以前親戚のお姉さんから貰った、胸の谷間が強調されやすい服を取り出す。

今までは恥ずかしくて着れなかったが、そらを落とすために気合を入れる。


「こ、これは何というエッチな服なんだ!?」


別にそこまでエッチな服でもないのだが、蓮姫にはそう見えたのだろう。

そして、服を装着してみる。


「おお、大人だ。私はとてもセクシーな大人だ!」


蓮姫の胸は、それなりにはある。

ただ、巨乳では無い。

でも、無いわけでもない。


要は、中途半端な大きさなのだ。


「うるせー!胸は大きさより形なんだよ!これで、そらちゃんを誘惑すればぐへへへへ」


また、無駄に妄想が広がる。

そらに、あ~んなことやこ~んなことされる妄想を、ヨダレを垂らしながら楽しむ。

普通に気持ち悪い。


「よし、次はメイクをしよう!色気マックスなメイクをしよう!」


母親から借りたメイク道具を駆使し、顔面工事を行う。


「こうかな、えっと、これでいいのかな」


慣れないメイクを、蓮姫は自分なりに一生懸命頑張った。


「イケる、イケるぞ!これなら、そらちゃんもメロメロのはずだ!」


と、根拠があるのか無いのか分からないが、蓮姫的には高得点なのだろう。


「ではでは、そらちゃんを呼び出そう!」


スマホで、そらにメッセージを入れる。

今から会いに来てくれないかと。


「どうしたの蓮姫?急に会いたいなんて」

「いや、その、ちょっと暇だから会いたいかなと」

「そうなの?別に時間あるしいいけど」

「ほんじゃ今すぐ来ておくれ~!」


蓮姫の興奮は鳴りやまなかった。

あわよくば、そらと一線を越えようと考えているからだ。


そして、そらが家にやってくる。


「そ、そらちゃん、どう!?」


蓮姫は、ちょっとドヤ顔でオシャレ(自己満足)した姿を見せる。


「・・・あの、蓮姫。今日、ハロウィンの日じゃないよ」

「・・・」


その場が凍り付いた。

蓮姫の脳内は吹雪が荒れていた。


「いや、その・・・」

「それにしても、変わったメイクだね。何かの映画のキャラ?先月見たホラー映画に出てくる悪役ピエロのメイクにちょっと似てるね」


そらに、悪気は無い。

ただ、ありのままの感想を言っただけだった。


「ハハ、そうなんだ。今度、学際で余興する場合に備えて何かやってみようかなと・・・」


蓮姫の目から涙がこぼれ、その涙に沿ってメイクが少しずつ落ちていった。

そして、よりホラー感が増した。

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2024年12月24日 20:00
2024年12月26日 20:00

超美少女の幼馴染が、諸事情で超美少年になってしまいました。おかげで私は血迷いそうで、血迷ってます。 霧島 翔 @ykstation

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