若い盛り

白川津 中々

◾️

今日こそは早く寝る。


そんな決意で家を出て今、全てが概ね予定通り。

朝練習授業放課後練習監督の長引く説教が終わり帰宅して夕食を済ませ風呂に入ってお布団に入った現時点で22時。食事中に放送していた特番をついつい終わりまで観てしまい若干のタイムロスはあったが許容範囲内。体も心も疲れきった今なら爆速入眠間違いなし。目覚まし時計もバッチリ設定。目を閉じておやすみなさい。



……




「だから駄目なんだよ」


「目が死んでる」


「目的意識が感じられない」



……



「何やってんだ」


「もうこのチームは終わり。楽しくやってください」


「話にならない」



……




「……うるせぇ!」




監督の説教を思い出し怒りヒートアップ。何故に高校の部活程度でそこまで言われなくちゃいかんのだ。運動だけで教師になったゴミクズが偉そうにしやがってぶち殺すぞ平成脳が。あ、いかん。眠気飛んだしお腹空いてきた。ストレスへの対処と睡眠の代替欲求で身体が食を求めている。でも今食うのか。歯も磨いたし、なにより部活に差し支えが出る。ベスト体重やぞ。絶対ここはキープしたい。必要カロリーだけを摂取したこの状態で寝たい。しかし俺の頭は備蓄されているレトルトの牛丼について考え始めてしまっている。粗末な味だがあれがいいんだ。化学調味料をふんだんに使ったカスみたいな肉を噛み締める事でしか味わえない幸せがある。あぁ、腹減った。牛丼食いてぇ。何も気にせず丼を掻っ込みてぇ。二袋温めて上に卵のせてぇ。腹減った。あぁ腹減った。



「……あぁもう!」



起き上がり、リビングに降りてストレッチマットを敷く。何をやるのか。決まっている。トレーニングだ。カロリーを消費し、牛丼を食べるのだ。目標は800カロリー。補強運動70分以上で達成見込み。調理と後片付けを考えると、眠れる時間は……


……やめよう。考えるのは。


とにかく今は、牛丼だけ。さぁ始めよう。まずはプランクからだ。夜は、長いぞ。

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