第3話
高校は、そこそこ柔道が強い学校に、たまたま一般入試で合格した。
本当はもうやりたくなかったけど、結局柔道部に入部した。
練習時間が中学校の頃よりさらに長く、休日も試合や練習でつぶれる日々だった。
朝の練習前には掃除をする決まりになっていたが間に合わず、練習が始まる直前に道場に駆け込み、慌てて着替えることが多かった。
ウォーミングアップの時点で、すでに他の部員について行くのが難しかった。
自分は他の部員の足を引っ張っているんじゃないかという不安が、日々募っていった。
昇段試験にも何度か挑戦したけど、中学生が相手でも勝てず、やがて試験に行かなくなった。
二年生の夏休み、柔道が強い中学校との練習試合があった。
自分の対戦相手は、中学校から柔道を始めたばかりの子。
相手がなかなか崩れず苦戦したが、技をかけてきたところをひっくり返して技ありを取り、そのまま勝つことができた。
家で部活のことを聞かれてそのことを話すと、父は「何を喜んでるんだ!?そんなの勝ったうちに入らない。公式戦で勝つまで喜ぶな!」と叱った。
大会でも父が他校の監督として会場にいることも多く、ますます緊張するようになった。
二年生の終わり頃、試合でまたいつものように負けた。
そこにたまたま時間があった父が現れた。
「何やってんだ!?いい加減な柔道をするな!もっと攻めろ!」
そう怒鳴られ、堪えきれず目からは涙が溢れた。
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