第34話

夜中、サトルはすやすや寝ている。

今日は10月31日。


サトルやみんなにばれないように。


こっそりと家を出る。

目的地は学校の屋上。


昨夜のサトルのおかげで魔力は満タン。

さて、みんなにはさよならも言わないで行っちゃうから怒られちゃうかな。


夜の学校は静まり返っている。屋上のカギは開いている。

私が呪文を唱えると魔法陣がほのかに明るくなる。その真ん中に誰かいる。


「おいていくなんてひどいよ」

 サトルだった。


「さよならも言わせないなんてひどいね」

 メグミもタケルも生徒会長も。


にやにやしているのはケイ。お前……。


「さぁ、おいで」

 サトルが手を差し伸べる。私はその手を取る。


 魔法陣が徐々に明るくなり体がふわっと浮かぶような感覚になる。


「いいの? 戻ってこれないよ、もう」

「いいんだ、君と一緒にいたい」


 その言葉を最後に私達は元の世界、サトルにとっては異世界にいた。


目の前には魔王様がいる。


「魔王様、勇者を元居た世界に送り返したので代わりに恋人を連れてきました」

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魔王様、勇者を元居た世界に送り返したので代わりに彼氏連れてきました 山田ジギタリス @x6910bm

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