第32話 邪神
竜の群れを見た僕達は、王都へと急いで帰った。王都が襲われているのかと思い、臨戦態勢で戻ったのだが…
「ソーマ!久しぶりだなぁ、元気してたか?」
なんでここにいるんだろう…
「父さん、どうしてここに?」
僕の父さんは村で農家として働いているはずなのにジョブチェンジをしたのか竜に乗って王都の前までやって来ていた。よく見ると他の人たちも来ており、何があったのか聞くことにした。
★★★
「あぁ、この国の王族が邪神の封印を解こうとしていることが分かったからな。もうすぐ御先祖様達が率いる特殊部隊もやって来るはずだ。あの封印はこの国の王族が管理していて、王族にしか解けない封印だからな」
理解はできたが、邪神という単語に僕達は驚いた。とくにシギルさん達は僕達の出身を知らないし、その村がどんな村かも知らない為、何一つ話についていけておらず困惑していた。
「お待たせ、これから王城へ行くよ」
ソウスケさん率いる特殊部隊【黒龍】がやって来た、その異名通り乗ってきたのは竜でなく黒龍、竜でなく龍……竜より上位の種族だ。
★★★
僕達はシギルさん達に依頼達成の報告を任せてソウスケさんや父さん達と共に王城へと向かった。
「邪魔しないでくれよ」
そう言ってこの国の騎士たちに対して殺気を向けるソウスケさん、いつも穏やかだった彼だが、今はとてつもなく荒れている。ソウスケさんだけでなく特殊部隊【黒龍】のメンバーも顔つきがいつもの優しいお兄さんお姉さんでなく、戦場へと向かう……戦士の顔をしていた。
「僕達って着いて行って大丈夫なの?」
「ソーマくん達は村の人間だし、そもそも邪神が狙うのは僕だろうから大丈夫だよ。社会見学に来たとでも思っていいからね。」
どんな社会見学ですか、それ。まぁ、ついて行くことを許可されたので僕達は大人しくついて行くことにした。
特等席で、古の英雄たちによる王族を罰する劇を楽しもうと思う。さすがにまだ邪神は復活していないようだが、王城はソウスケさんたちが龍を連れているからか焦っているように見えた。
「騎士も弱ったな、昔はもっと強かったというのに…まぁ、脅威のない今の時代に強すぎる騎士などいらないものなのかもな」
どこか、悲しそうに呟くソウスケさんとそれに頷く特殊部隊の人達。昔はもっと強い騎士がいた、か。確かに邪神がいて危険度:Sの魔物が群れをなすような世界で生きていくためには騎士も必然的に強くなったのだろう。今ではそんな強い魔物が蔓延ることのない世の中の為、弱体化したのだろう。
僕達はソウスケさん達の後ろをついていき最後尾は竜に乗ってきた父さん率いる村の現役メンバーで僕達を守るような陣形となっている。
危ない場所について生かせるべきじゃないと思うんだよね。まぁ、この人達の強さを信用しているけど普通邪神の封印見に行く?って聞かないと思うよ。僕達から行きたいって言ったとしても止めるのが大人だと思うよ。
まぁ、いっか。少しワクワクしているのは秘密だ。
「楽しみだな、ソーマ!」
アレン、楽しみとか言うな、楽しみだけど。
「アレン、たのしむとこじゃないよ?」
いつも通り、イルミに宥められ興奮していたアレンも落ち着きを取り戻した。他のみんなは緊張しているのかいつもより落ち着いている。これが普通の反応ってやつだと思う。
「ここを降りるよ」
ソウスケさんが指を指した先には、螺旋状の階段が下に伸びていた。ここから先は龍や竜は来れないため、ここに置いていくこととなった。
コツンッコツンッと音を立てながら階段をしばらく降りていくと、少し開けた場所にやってきた。
「すこし、変わってるなぁ、ここには何も無かったはずなんだけどね」
ソウスケさんは辺りを見渡すとそういった。確かに少し散らかっているように見える。机や椅子、そして散乱している紙の資料、その一つを手に取ると、
「ソウスケさん、これ……」
「邪神を操るための研究施設に成り代わっていたのか、ここは邪神の封印があるから好都合?笑わせるな、あれは悲劇をもたらす存在でしかないというのに」
僕が拾い上げソウスケさんに渡した紙には邪神の力を操り兵器として扱い戦争の道具にするというものだった。僕達は、封印を解き邪神を操ろうとしている者達がいるであろう、封印の場へ向かった。
★★★
「お前達、何をしているのかわかっているのか?」
封印の場に着いた先にいた人間達に向かって、ソウスケさんが言い放った。
「俺は第三王子だぞ?逆らうと言うならお前たちも邪神に捧げる生贄としてやろうか?ふっ、もうすぐ封印が解けるのだ……楽しみだな」
王族、なのか?王族にしては愛国心のなさそうな奴に出会った。その取り巻きと思われる研究者達は両手で抱えた資料をもって逃げようとした為、父さん達の手によって捕縛された。
「あ、封印が解けた。はぁ…みんな一度転移するから」
ソウスケさんガそういうと目の前にある邪神を封印しているであろう黒い繭と第三王子を含め確か僕達は転移させられた。
【あとがき】
応援よろしくお願いします。
最果ての村〜英雄達の末裔は世界を再び揺るがします〜 ケイ素 料理警察 @keito0390
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。最果ての村〜英雄達の末裔は世界を再び揺るがします〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます