第30話までのレビューとなります。
個性的な主人公【敦】と同じ委員会を通じて親交を深める【絵美】。二人の関係は決して近いわけではないのに、哲学という言葉の力で不思議と惹き寄せられていくところにタイトルに支えられた最大の魅力が秘められています。
一般的に恋愛と哲学は双方における接点や共通項を見出しにくいと思われるかもしれません。
しかし、本作ではその隔たりの概念を言葉巧みに覆し、高い親和性でこれらを結びつけている点でとても優れていると感じます。
哲学を大いに活用して女子のゆらめく心を褒めそやす。気づけば口説きを含んだ意味深なフレーズにドキドキしてしまいますね。
想像を超えた密度で展開される二人を取り巻く環境に個性的なキャラが映える学園物語。
相手の心理を柔らかく捉えたライトノベル調で読みやすく、男女問わず楽しめる作品だと思います。
広沢長政 様の「哲学好きな男子高校生が悩める美少女を口説く話」は、タイトルからしてちょっとユニークで引き込まれました!読んでみると、哲学がただの飾りではなく、物語の中心にしっかりと据えられているのがすごく新鮮です。敦と絵美の対話は哲学的だけど難解すぎず、むしろ心にスッと入ってくる感じで、私たち読者も自然と「本物って何だろう?」と考えさせられます。
特に「アレテー」を用いた敦の言葉が印象的で、彼の優しさと知性が一気に伝わってきました。そんな彼に触発される絵美の変化も丁寧に描かれていて、読んでいて「頑張れ!」と応援したくなりました!一方で、敦自身も、ただの哲学オタクではなく、彼女との関わりの中で自分の未熟さや感情と向き合っていく姿に、ぐっとリアリティを感じます。
哲学というテーマを青春の葛藤に落とし込んだ本作は、深いメッセージ性と親しみやすさを兼ね備えていて、哲学初心者でも安心して楽しめる作品だと思います。これから二人の関係がどう進展するのか、そしてどんな答えを見つけるのか、とても楽しみです!