一つ目の魔王城が現れ、勇者たちが召喚される。
おお、これこそ異世界ファンタジー。
魔王は倒され、世界は守られた。よかったね。
ところが二つ目の魔王城が現れ、またもや勇者たちが召喚される。
えっ、何か変ですね。こういうのどんどん続くの?
魔王と魔王城出現には、どうやらとんでもない秘密が隠されているみたいです。
勇者召喚とも関わりが?
複雑な人間関係と、異世界ファンタジーの面白さを上手に絡めた作品。
軽快な口調で語られていますが、実はなかなかヘビーなお話です。
学園ラブコメも楽しめて、面白いですよ。
キャラが立っている上、掛け合いも楽しいので、すらすら読めてしまうはずです。
でも作中で起きていることはかなりシビア。
さらに深い陰謀が渦を巻いていそうな世界設定にも惹かれます。
魔王城が出現し、魔王討伐のために異世界から勇者パーティーが召喚される。
そして魔王は倒された。
だが二つ目の魔王城が出現した。
またもや勇者が召喚され――?
さて、ここで問題。なぜ魔王城は出現するのか?
魔王とは誰なのか?
こうした謎が少しずつ明らかにされていきます。
軽いノリで進むけれど、背筋がゾクっとする秘密に引き込まれるはず。
本格ファンタジーも読みたいけれど、学園ラブコメも楽しみたい、そんなわがままが同時に叶えられます!
物語は、主人公の仮面の魔法使いサイカ・ワ・ラノとヒロインの女勇者の激突から始まる。
その激突に至った理由を後のエピソードで謎が解ける、という趣向になっていて、時間や視点が変化することで話を立体的に読み解けるのがとても個性的でおもしろい。
主人公の名乗りの時のカッコの付け方が中二病だったり、そのカッコ付けが無意味だったことにショックを受けて「おうち帰る!」と言い出したりで可愛らしい反面、実は魔王候補というギャップが非常に魅力的。
主人公たちと周囲の関係性が「敵か味方か」と単純に割り切れるようなものではなく複雑に絡み合う一方で心理描写が丁寧で読みやすく、安心してオススメできる。
ヒロインは異世界からの勇者。
さらに魔王サイドにも召喚された子も……。
その設定だけで心躍るのですが、現地案内人が主人公。何より……という設定がすごいのですが、何よりカメラアングルを意識したかのような文章表現が、グイグイと世界に没入させてくれます。
冒頭のヒロインが主人公を糾弾。
そこからどうなるか、しっかり伏線を、色々な展開を絡ませながら回収しつつ。物語はまだはじまったばかり。
読み手をグイグイと引き込んでくるのは、主人公のコミカルさ。そして、現地人として読者も、ガイドされているような感覚に陥るからかもしれません。
かなり深い設定が用意されていそうで、今後の展開が楽しみな物語。
おすすめです!