優しく、愛おしい時間を描く、心にしみる短編集

 本当に、どの話もとても愛おしいと思えるような、まさに「琴線に触れる」物語の宝庫でした。

 ごく普通の人々の何気ない日常。そんな日常の中にふとやってくる、じんわりと心を満たしてくれるような一場面が描かれています。
 第一話のエピソードに関しては、「こんな青春を送りたかった!」と多くの人の共感を得られることは間違いないでしょう。

 この作品集は、穏やかなカフェの中とかでコーヒーでも片手にのんびりと読むのなどに適していると思います。または、静かな秋の夜長の読書にも最適でしょう。

 ちなみに個人的には「ブレンドの香り」、「猫のしっぽ」、「放課後」の三篇が特に心に響きました。
 どの話もとても素敵なものなので、自分自身の「琴線に触れる」物語を探してみてはいかがでしょうか。