ちいさな童話「どんぐり」

ふみその礼

第1話  どんぐり


どんぐりがそばに来てた

見ないふりをしてた

どちらががまんできるかな


ほんとはわたしもどんぐりも

そばにいること気づいてるのに


わたしの「せいの!」のかけ声で

おたがいを心の窓に映したよ


「ごめんなさい」どんぐりが言った

はじめに言っとくけど

わたしは虫に穴をあけられてるの

そんなどんぐりなの

いつか近いうちに

どんぐりでいられなくなるかも


わたしは心からつぶやいた

あなたはどんぐりだよ

からだに傷があっても

心の窓を開けて

わたしを入れてくれた


わたしも実は傷だらけなの

いつ失格って言われてもおかしくないくらい

こんなわたしにあなたは

心の目を向けてくれた


そのやさしさが

ひとりぼっちのわたしにはうれしかった

ほんとうにほんとうに

うれしかった


わたしとあなた

となりにいるのに

からだは別々だから

ふれあうことはできないね


でも心は

ふれあうことができるんだ


よかった

いま

心が

ひとつになれたね

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ちいさな童話「どんぐり」 ふみその礼 @kazefuki7ketu

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