推し活は免疫力まで上げる!
私は自分で言うのもなんですが、慎重ですし、臆病です。
行動に移すのが遅いし、下手なタイプ。よく、優柔不断って言われます。
そして方向音痴で、地元で友人と待ち合わせするのにも苦労するほど。
人混みは嫌いだし、インドア派です。
これって、何か分かりますか?
ショーを見に行くのに全く向かないということなんです!
そんな私でしたから、Hくんのファンになってもアイスショーに行くなんてことは考えたこともありませんでした。ある意味諦めていたんですね。自分には無理だと。そんな畏れ多い、と。
ですが、そんな私、ある出会いで変わっていきます。
お知り合いの方が「娘が羽生君の大ファンで、今度アイスショーに行くのよ〜」と言ってるのを聞きました。
「いいですね〜! 私も実は羽生君のファンなのですよ!」
するとその方が娘さんに話されたようです。娘のMさんは顔は知ってはいましたが、話したことは数回しかありませんでした。
「まだ席余ってますよ!」
Mさんのお母さんを通して来たメールには、チケットの取り方なども親切に書いてありました。
私は混乱しました。
いやいや、いいな〜とは思ったけど、実際に行こうとまでは……。
アイスショーにそんな私が行く?
考えてもいなかったことでした。
確かオリンピックの前で、今ほどは人気ではなかったのでしょう。たまたま席が空いていたんですね。
私は悩みました。県外で、バスで二時間以上かかるところです。
でも、行ってみたい!
私は主人に話しました。
「行きたいなら行けよ!」
主人の一言に勇気づけられました。
しかも、たまたまその日は送れると言われ、私は主人に送ってもらい、アイスショーに行ったのでした。
席はアイスリンクからは遠かった。でも、Hくんのホワイトレジェンドは美しくて、私は涙が止まりませんでした。
行って良かった。
心からそう思いました。
遠くてもいいんです。Hくんと同じ空間にいるというだけで幸せでした。
それからです。MさんとはHくんの話で仲良くなりました。
Mさんはよくアイスショーに行かれているみたいでした。ただオリンピック後はなかなかチケットが取れない時期が続いていました。
そこに転機がまた訪れます。
推しの引退!
衝撃的でした。
今でもスマホに引退会見のを動画に撮ったものがあります。一言一句噛み締めました。
もう彼の試合が見られない。
それは絶望感をもたらしました。
けれど。
推しが決断したことだ。
応援する私の姿勢は変わることはない。
私は、アイスショーを観に行くことに全力を注ぐようになりますが、アイスショー、なかなか取れません。
推しの引退後、単独の初めてのショー。
私は現地でのチケットが取れず、ライブビューイングで見ることになりました。
ところが。ライブビューイングの前日。ずっと続いていた背中の痛みと、いきなりの発熱。休日で当番医のところに行きました。たまたま泌尿器科で良かった。腎盂腎炎だと判明したんです。
炎症マーカーCRPは入院レベルの12。
「連休明けに医療センターの紹介状書くから行きなさい」
と言われました。
「ライブビューイングに行きたいんです」
「はい? いや、でも、私は進めませんよ。入院でおかしくない数値なんですよ?」
初老の優しい先生にやんわりと言われましたが、私は諦められませんでした。
Hくんのプロになって初のアイスショーは、今回だけなんです。ライブビューイングのチケットも、やっとこさ取れたんです。
どうせ病院に入院できないのなら、どこで過ごしても同じではありませんか! 幸い、腎盂腎炎は人に移りません。
私は痛み止めと、抗生剤を飲んで、ライブビューイングに行きました!
その日も映画館で感動の涙がとまりませんでした。
そして、私の選択は意外な結末を迎えます。
推しへの愛は奇跡を生んだのです。
ライブビューイングの翌日、医療センターでの血液検査で、私のCRPの値は通常値よりは高いものの、ショーの前日の値の5分の1まで下がり入院は免れました。
推しは免疫力を上げる!
何より数値によって証明されたのでした。
検査結果を手に、泌尿器科に戻ると、
「ライブビューイングは結局行ったの?」
「はい。すみません」
「誰のだったの?」
「羽生結弦選手です」
「そうか。ならば仕方ないね。CRP下がって良かったね」
先生は数値に驚きながらそう言いました。
怖い先生じゃなくて良かったです。
そして、翌年。
なんとMさんとそのお友達がファンタジーオンアイスのかなり良い席をゲット! 私も恩恵にあずかることになりました!
お泊まりでアイスショー観戦。お泊まりも、飛行機での遠出も初めてのことです。
アイスショーに向けて、私はコスメ動画でメイクの研究をしたのでした。
Hくんの目に留まるなんて恐れ多いことは考えてません。可能性からしても無理でしょう。
それでも、少しでもおしゃれして可愛くして行きたいというのが、推しのライブに行く時の乙女心というものでしょう!
当日。数年前に行ったアイスショーとは比べ物にならないほど近い距離で、私は大興奮! しかも、いろんな選手がジャンプを飛ぶところだったのです!
スケート靴のブレードが氷を削る音を生で聞き、そして、夢にまで見た、Hくんのトリプルアクセルを身近で見られた! もう、高さが半端じゃないんです! なのに、着地音は他の選手より小さい! 素晴らしい!!
声を出し過ぎて倒れそうになりました。自分がこんなに黄色い声を上げる日が来るなんて!
周りに座っていた中国人のファンと国際交流もしました! 推しへの愛は国境を越えるのだ!
楽しい楽しい旅行になりました!
その後、Hくんの単独アイスショー第二弾も、先行を2回落選、その後も2回落選、リセールでなんとかゲットして、行けました!
席はそこまでいい席ではなかったのですが、一望はできて、全体像がわかり、良かったです! なにより、ショーの空気は現地でないと味わえません! みんなファンの人ばかりだから、空気も暖かいし、一体感があるんですよね。Hくんの美しいスケートと、プロジェクションマッピングの融合は芸術のようだし。
Hくんは単独アイスショーのとき、自分で作った物語をスケートと、映像で表現するようになって、アイスストーリーと名付けています。
それがまた、Hくんの可能性を広げているんですよ! Hくんは、物語を作ったり、映像では演技をしたり、音読をしたり。そして、その全てをプロデュースするわけです! すごい才能! 大変なのに、スケートももちろん手を抜きません! 全てを完璧にこなしたい。そう思うのは昔からちっとも変わっていませんね〜!
Hくんとの出会いで私はMさんとこんなふうに仲良くなり、そして色々と行動するようになりました。
つい先日も、Mさんと、その友人と旅行先で、Hくんの能登半島地震のチャリティーショー配信を見てきました。
好きな人が同じって、それだけで最高です!
一緒に見ていて、同じような反応! 共感!
楽しくて仕方がありません!
彼女たちとは来年のショーも見に行けることになりました!
先行2回落選、そして、なんとかゲット! 注釈付きの、見づらいとこのようですが、それでもいいんです! 同じ空間で、Hくんのやりたいことの実現に立ち会うことができるのですから! 今から楽しみでなりません!
Hくんの推し活は、私の人生を変えた、というのは嘘ではありません。
私はピアニストの反田恭平さんも大好きなのですが、反田さんのピアノを聴きに行くために、一人旅までできてしまったんです。
以前の私からすると考えられないようなことでした。
インドア派で、方向音痴で、人嫌いな昔の私は、きっと今の私に会ったら驚くに違いありません。
推しは生き方を変える。
今、私は人生が楽しい。
推しが今も頑張ってる。それだけで、自分も頑張れる。
推し活を支えてくれる主人には本当に感謝してます。
皆様には推しがいらっしゃいますか?
私は断言します。推しのいる生活、人生に張りがでますよ! 最高ですよ!
推し活してみませんか?!
推し活、楽しんでます! 天音 花香 @hanaka-amane
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
同じコレクションの次の小説
関連小説
ちょっとした語りと思索を披露する場/ポンポコ
★45 エッセイ・ノンフィクション 完結済 199話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます