終わる事のない七夕の絶望

一途な想いを持った彼女は、七夕の逢瀬を
楽しみにしている。遠くの大学へ進学した
彼と、地元の女学校に通う彼女。
いずれ身につけて貰える様にと手編みの
マフラーを携えて。

しかし、無情にも彼の心は離れて。
楽しみな筈の七夕は、辛い記憶となって
彼女を苛む。

小さな商店街にある喫茶店を舞台に
永遠に繰り返される『七夕』の失望。
穏やかなリフレインは彼女の希望と絶望。

七夕に、人は祈る。

 祈りは即ち、呪縛でもある。

彼女は何を祈り、何を呪ったのか。その
意外な曇天返しに驚愕する。
人の心の機微を描き出す、ミステリー色の
強い、この作品。


 読後、あなたは何を感じるだろうか。