最速!祠修繕サービス! ××駅前店

寝舟はやせ

ぴょんぴょんぴょん ぴょんぴょぴょん

『あのう』

「はい」

『祠をこわされちゃって』

「はい」

『ご連絡 したら、その、来てくださるそうで お電話して』

「はい」

『なおりますか? 祠』

「もちろん。祠は直ります」

『よかった! あのお、僕が出てしまって、困っていて、お電話、探しましたけど、お家は遠くて、たくさん出てしまって、村のみんなも 直らないかもと心配で、よかったです』

「ああ、いえ。直るのは祠だけです」

『??? 祠が直ったら直る、ますよね? みんな』

「いいえ」

『あの、でも、まだ動いてるので、あの、みんな、直る……』

「動いてるだけですね」

『………………』

「むしろ動かなくした方がいいですね」

『あれはつらい?ですか? みんな元気 ではない? たのしく跳ねてる……』

「辛くはないと思います。でも動いているだけです」

『跳ねてるのに? たのしくない?』

「動いているだけです」

『そうなんだ…………祠こわれちゃうとだめなんだ…………』

「駄目でしたね」

『だめ……』

「祠の方は完全に修復可能ですので、しばらくは彼方の家屋でお待ちください。たしか、村長さんの家でしたっけ」

『そう、です! お電話、貸してくれました、やさしい、いい村長です』

「そうですか」

『あそこで跳ねてるのです!』

「そうですか」

『ええと、村長だけは動かしておいたら だめでしょうか』

「別に、動かしておく分には何もダメなことはありませんが。直らないだけです」

『直らなくても、みんなといっしょにいれたら嬉しいなって、おもいます』

「そうですか」

『それに、それに、あの、みんな楽しそうに見えます』

「そうでしょうか」

『楽しい!かもしれません! ほんとは!』

「そうかもしれませんね」

『ぼく、たのしいか聞いてきます!』

「いってらっしゃいませ。作業は二時間ほどかかります」

『はあい!』





『みんな こたえてくれない』

「動いてるだけですからね。祠は直りましたよ」

『どしたら みんな直りますか?』

「直りませんね」

『さみしい』

「でしょうね」

『あたらしいの持ってきたらだめかな』

「よいと思いますよ」

『よい?』

「最近は田舎に住みたいなどと実情も知らず覚悟もなく配慮すら頭にないまま夢みる人も多いですから」

『? いっぱいいるってこと?』

「探そうと思えば」

『じゃあ持ってきてもらうことって、できますか? さーびす、ありますか?』

「構いません。それでは二十人ほど用意しますので、料金は別途お支払いください」

『やったあ! 祠もみんなも直る!』

「そ──うですね。祠は直りましたので、何も心配はいらないかと。ところで、跳ねているのはどうなさいますか?」

『? 跳ねてたらだめ?』

「新しいみんなが不安がるかと」

『そっかあ うーん じゃあ、しまっちゃう から、大丈夫です』

「承知しました。それでは二週間ほどお時間をいただきます。本日はありがとうございました。

 また祠が壊れた際にはご利用ください」

『はあい。ありがとうございます!』


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