蜂蜜入りのブランデーを飲んでいるような

小説を読んでいると、時に匂いや味を感じます。

それは、作中に登場するものの描写を目にした時。あるいは、その作品そのものからどことなく香り立つ『華』を感じた時。

私が本作で味わった感覚は、後者でした。

芳醇な香りを漂わせているブランデーに、こってり甘い蜂蜜をたっぷり溶かせた熱いお湯を注いだ際にふわりと立つ湯気。それを吸い込んだ時の味わい。

この作品を拝読している間、そういう味と香りが、口の中や鼻腔の奥深く、更には頭の芯の方に、じんわりと広がる気がするのです。

ヒロインのニアナは情に厚く勇敢。
ヒーローのウィリオンは粗野だけど大変可愛らしい一面を持つ。
侍女長は暴走体質。
アムゼンは愛すべき二面性を持つ、できる男。

なかなかどうして味わい深くて楽しい登場人物達ばかり。

作者様の筆致と彼らのキャラクター性が絶妙に混じり合ったこの物語は、華やかで、香り高い。おいしい。


どうか、宜しくお願い致します。


ちなみに私は、侍女長とアムゼンが好き。

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