わざと祠を壊して直す

ぴのこ

わざと祠を壊して直す

【神因性災害対策本部 報告書】


作戦実行地:■■県■■郡 薮杜村やぶもりむら

作戦実行日時:2024年10月11日


作戦内容:■■県薮杜村の土地神が祀られた祠を改築し、同県内の蔓木山村つるきやまむら・鵯ノ川村ひよどりのかわむら桑分村くわわけむら蘆野丘村あしのおかむらの土地神が祀られた祠と組み合わせた新たな祠を建てる。


目的:■■県に神因性災害を発生させる五柱の土地神は、それぞれが祀られる祠に結びつく存在であると考えらえる。前年の■■■県でのケースから、祠を破壊するだけでは土地神を消滅させることはできず、土地神を制御不能にする結果に終わることが予想される。

 そこで祠を破壊・再合成することで五柱の土地神を一体化させ、被害区域を薮杜村に限定させることが本作戦の目的である。なお、本作戦は住民に無許可で行うものであるため、住民の妨害を避けるべく速やかな実行が求められる。




【記録】

2024/10/11/1:30

 住民が寝静まった深夜に作戦開始。藪杜村・蔓木山村・鵯ノ川村・桑分村・蘆野丘村の祠を一斉に破壊した。実行者はアルバイトスタッフ。破壊方法は、祠周辺に完全防音機構を配置した上での爆破解体。破壊には成功したが、各村で爆弾の起爆を実行したアルバイトスタッフは起爆とともに全員死亡。残りの人員により祠の残骸を回収し、薮杜村への残骸の輸送を開始した。


2024/10/11/2:10

 藪杜村の祠跡地への、蔓木山村・鵯ノ川村・桑分村・蘆野丘村の祠の残骸の輸送が完了。輸送に携わったアルバイトスタッフには土地神の祟りと思われる現象は起きなかったため、祟りのトリガーは■■■県の祠と同様に祠の破壊と予想される。それぞれの祠の残骸を組み上げ、ひとつの祠として再構成する。


2024/10/11/4:35

 藪杜村の新たな祠が完成した。素材として使用したものが爆破を受けた木材であったため、各所に焦げ目が見られる。継ぎ接ぎだらけの不格好な祠といった外見だが、祠の形には仕上がった。この祠に五柱の土地神を祀る機能があるかは不明。引き続きの調査のため監視カメラを設置し、チームは撤退する。


2024/10/11/6:40

 祠を訪れた住民が異常を察知。住民は6:40時点では一度撤退し、この7分後に他の住民を引き連れて祠へ戻った。確認できる人数は8人。

 住民たちは祠の前で何事かを言い争っていた。


2024/10/11/6:50

 一人の住民が祠を蹴ると、祠の一部分が破損。祠を攻撃した住民のみならず、祠の周囲にいた住民まで全員が即死した。




【結論】

 再構成した藪杜村の祠を破壊した住民が死亡したことから、祠に土地神を宿らせることに成功したと判断。祠を破壊した際にみられる祟り現象の攻撃性が上昇していることや、蔓木山村・鵯ノ川村・桑分村・蘆野丘村地区の神因性災害とみられる災害が作戦以降発生しなくなったことから、五柱の土地神は藪杜村の祠に収まっていると考えられる。

 藪杜村の祠の破損部位は住民によって修復され、現時点では以前と同様に扱われている。

 本作戦は成功事例として記録する。

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