先生!人権がありません!!!
@syagenabeibe
悪夢の始まり
第1話 転生したら人生イージーモードって誰が言ったの?
転生とは、誰しも一度は考える夢物語だ。
アニメやライトノベルに出てくる転生系の主人公達は、神様から与えられたチート 能力や都合よく覚醒した才能によって、転生する前よりも遥かに幸せで充実した人生を送っている。
変わらない日常を退屈に思う人ほど転生と言う言葉は魅力的に聞こえるものだ。
このつまらない日々を終わらせて新しい人生を始めたい。
だからこそ、俺は死の間際に信じてもいない神に願った。
学校の屋上で強風に煽られボロいフェンスを突き破り落下していく、あと数秒で地面に叩きつけられる僅かな時間。
「美人な彼女がほしいイケメンになりたい退屈を忘れさせてチート能力が使いたい」
お願いします神様この条件で転生させてください!何でもしますから!!!
「神の野郎裏切りやがった……!」
俺はこの世界で作られてから何度目になるかわからない呪詛を吐いた。
良いニュースと悪いニュースがある、どちらから聞きたい?
どっちでもいい?じゃあ良いニュースから。
俺は地球とは異なる世界に転生した。しかも、身長は低いがイケメンなショタに。
次に悪いニュースだが…。
「俺…クローンですやん………。」
先ほど作られたと言ったな?
俺の体は近未来的なカプセルに謎の液体をぶち込んだことで作られた。
そして、俺が作られたカプセルと全く同じ物が数え切れないほど大量にあった。
もう、おわかりですね?
◇
俺はクローンに転生した。
ちなみにこの体には名前など無く、第7世代人型クローン識別番号0217という番号だけだ。
囚人よりもひどいだろこれ。
俺が転生したのは2日前だ。 屋上から落ちて地面にぶつかると思った時には、カプセルの中にいて自分の体が出来上がるのを見つめていた。
そこから2日かけて状況を整理し、自分の体が出来上がるのを待っていた。
そして体が完成したと同時にカプセルが開き、外にいた研究者らしき人達に他のクローンと一緒に狭い部屋に押し込まれたのが現状ってわけ。
抵抗しなかったのかって?
逆に聞くけど突然意味わからんカプセルに入ってて、自分の体が出来上がる工程を見せられて、自分と全く同じ見た目をした人を大量に見て冷静でいれると思うか?
今は落ち着いているけど、最初はめちゃくちゃ焦ったからね。
抵抗する気力さえなかったんよ。
「これからどうすりゃいいんだ?」
同じ部屋にいるクローン達は一言も喋らないし、表情も変えない。
話しかけても反応すらもらえないって初めてだよ。
そうして俺が途方に暮れていると、閉まっていた部屋の扉が開く音が聞こえた。
「ふ〜ん…まぁ量産型のクローンなら及第点かなぁ〜」
扉を開けて入ってきたのは一人の少女だった。
漆黒の髪を掻きながら手元の資料を見ており、その顔は狂気を感じるも前世で見た誰よりも整った容姿をしていた。さらに、小柄ながらスタイルも良く大人の色気を感じさせる。
そんな魅力的な少女を見て俺は…………。
これ以上無いほどの恐怖を感じた。
自分の本能、第六感、精神が目の前の少女に特大のレッドアラートを鳴らしている。
絶対に敵対してはいけないと一瞬で理解した。
(これは…だめだ、目をつけられたらその瞬間に終わる)
抵抗なんてするだけ無駄と思えるような気配を纏う少女に対して嵐が過ぎ去るよう気配を殺して周りのクローンに溶け込む。
顔が同じで背も同じ、万が一にも目をつけられることはないと思っていたのに…
目があった
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