最終話 噛ませ令息、やらかす





 俺はアウロラ、ナザリー、アルト、それからアリルと結婚した。


 まさかの四人も妻ができたのだ。


 あまりモテなかった前世と比べたら凄まじい幸運だろう。


 毎日のように時間を作っては全員抱きまくっていたら、ものの見事にアリルたちは妊娠してしまった。


 お腹の子が安定するまでしばらくエッチなことは禁止になってしまい……。


 俺は性欲を誤魔化すように仕事に打ち込んだ。


 というのも、アウロラを妻として娶ったからには俺は次の国王となるのだ。

 王様からも他国との交渉術とか色々叩き込まれており、何かと覚えることが多い。


 最初は順調だった。


 お腹の子が安定するまでエッチを我慢できると思っていた。


 しかし、やらかしてしまった。



「お、お主なあ。妻が四人もいながら浮気するとは驚きなのじゃ」


「うっ」



 俺は妻が四人もいながら、浮気してしまった。


 イヴリスが俺の部屋でだらだらしていた時、その姿に欲情してしまったのだ。

 幼女体型に興奮するほど性欲が溜まっていたのかも知れない。


 しかもイヴリスだけでは満足できず、あと二人ほど手を出してしまった。



「うふふ♡ 素晴らしい、素晴らしい♡ 神の子種をこの身に宿せるだなんて♡」


「うぅ、どうして魔王のボクがこんな目にぃ♡」



 以前よりも狂気的な光を目に宿した元聖神教壇の教祖、現シュトラウス教の教祖であるミュレナ。


 それから力を全て失った魔王だった。


 前者はともかく、どうして後者がまだ生きているのか、だって?


 これには事情があるのだ。


 本来、魔王は勇者が扱う聖剣でしかトドメを刺すことができない。

 そのため、勇者が目覚めたら魔王を始末してもらおうと思ったのだが……。


 勇者は俺にイチャモンをつけてきて決闘。


 アリルが俺の代理で戦い、勇者は惨敗してしまったのだ。


 そして、行方不明になった。


 勇者がいなくなってしまった以上、魔王を殺すことができないため、俺が管理することになったのである。


 で、イヴリスやミュレナ共々抱いてしまった。


 さすがに不味いだろうし、アリルたちにバレた時の言い訳を考えておかないと――



「ん。浮気現場、発見」


「ぴゃっ!? ア、アリル!? いつからそこに!?」


「ん。最初から」



 まじですかい。



「い、いや、アリル、これは、そのぉ」


「ん。別に怒ってない。主様が色々溜まっているのは分かってた。愛人の一人や二人、三人くらい何とも思わない」


「おーい、妾は愛人扱いなのじゃ?」


「ん。でも愛人を可愛がった以上に可愛がってくれないと拗ねる」


「……妾は無視か……」



 イヴリスは完全に無視して俺を上目使いで見つめてくるアリル。


 くっ、かわいい。



「ん。というわけで」


「ん?」


「全員、カモン」



 アリルの合図と同時に、部屋の中へアウロラやナザリー、アルトが入ってきた。



「むぅ、旦那様の浮気者っ♡」


「わたくしの魅力で何度でも振り向かせてみせますわっ♡」


「仲間外れは寂しいじゃないか♡」



 お腹の大きくなった彼女たちが肉食獣を彷彿とさせる妖艶な笑みを浮かべて言う。


 俺は美味しく頂かれてしまった。



「ん? 何してんだ、ミュレナ?」



 どうにか全員を相手に満足させ、アリルたちが眠ってしまった後。


 ミュレナが部屋の隅で何か作業をしていた。


 その手には映像を記録する水晶が握られており、先程までの俺たちの行為を録画しているようだった。



「ふふ、神に逆らった愚かな勇者へ愛しの女性たちが抱かれている様を見せて差し上げようかと。ああ、ご安心を。神の寵妃たちが乱れる姿で自らを慰めることができないよう、四肢を切り落として貞操帯をさせていますので」


「? ええと、そうか。よく分からんが分かった」



 まあ、エッチな動画を取っておいて後で一人でする時に使うってあるよな。


 男は詳しく突っ込まないでおこう。


 俺はキングサイズのベッドに寝転がり、隣で眠っているヒロインたちの寝顔を静かに見つめた。



「……ふぁーあ、俺も寝るか……」



 それから俺が率いるアーベント王国の軍隊は最強として名を馳せ、周囲の国々から恐れられるようになった。


 その気になれば世界征服とかできただろうけど、仕事が増えるだけなのでやめておく。


 俺は妻や愛人たちとの時間を大切にする男だからな。


 ただ一つ、納得できないことがある。


 後年の歴史書で俺のことを『天下無双の軍隊を率いた男だが、浮気性が酷くて妃たちの尻に敷かれていた』と語られていたことだ。


 あと『目麗しい美少女美女で軍隊を編成し、ハーレムを作った』とか書かれていた。


 いや、事実だけどさ。


 でもやったのはミュレナとかアリルであって、俺じゃないのだ。


 もっとこう、ね? 何とかならなかったかね?







 完。






―――――――――――――――――――――

あとがき

どうでもいい小話


作者「短めで終わった」


シュ「さいならー」


作者「新作『最強魔王は地上を征服中、でも美人勇者たちのおっぱいが凄すぎて戦いにならないんだが。』を投稿開始したので時間のある方はそちらもどうぞ」



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劣等領地の噛ませ令息が支援魔法を極めたら最強の美少女軍隊が出来上がってしまった件 ナガワ ヒイロ @igana0510

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