EP38:スターリンの新年演説
ソビエト共和国連邦と日本が同盟を結んでからというもの、日本国内の一部の軍人達はクーデターを起こそうと画策していた。
というのも、その軍人達の大半は日露戦争に参加していた者が多かったため、そうなるのも無理はなかった。
そんな時....スターリンが来日したのに加えて、日本国内で演説すると聞きつけた彼らは好機と捉えたのか、スターリンの暗殺計画を企てていた。
「え〜、どうもこんにちは。そしてあけましておめでとうございます」
日本国中にある演説会場にて、日本の人々に向けて演説を行うスターリン。
その会場には警備員はもちろん、スターリン暗殺を目論む軍人もおり、懐に銃を隠し持ちながら暗殺の機会を窺っていた。
「新年真っ最中の時期にこういう話が出来ること自体が嬉しいので、ひょっとしたら変な話をしてしまうことがあるとは思いますが、そこはご了承ください」
流暢な日本語を話すスターリンに対し、彼が日本好きであることを改めて理解する観衆達。
そんな人々を尻目に、軍人は日本語を喋るスターリンに対して茶番だなと思うのだった。
「さて....新年早々にこんな話をするのはアレですが、平和というものを掴み取るのは中々難しく、奇跡にも等しいことだと私は最近思うようになりました」
スターリンがそう言うと、その言葉に軍人は思わず反応したのか、懐にしまっていた銃を取り出そうとするのをやめてしまった。
「あの手この手を使っても平和を手に入れたとしても、その平和はあっという間に過ぎ去ってしまう。だからこそ、我々政治家はその平和を持続させるために日々戦っているのです」
スターリンを暗殺しようと企んでいた軍人は、彼が演説を始めてから僅か数分後に銃を触ろうとする手を引っ込め、そのまま演説に聞き入っていた。
それほどまでにスターリンの演説には人を惹きつける何かがあったからである。
「今の時代は武力によって勝ち取られた平和がもたらされていますが、その平和もいつまで続くか分かりません。ですから我々は新たに始まる一年を生き延び、新たなる平和を感じるその時まで生きなければならないのです!!」
スターリンがそう言った瞬間、会場にいた観衆からは歓声が上がり.......人々からはスターリンの言葉を忘れまいという決意が見られた。
それは、あの軍人も同じで
「俺...本当に馬鹿だな」
そう呟いた後、近くにいた警備員の方に向かったかと思えば....彼はそのままその警備員に対して自首し、そのまま逮捕された。
その後、この演説はスターリンの名演説の一つとして数えられることになるのだが....それはまた別の話である。
スターリン転生〜転生したら独裁者だった男の奮闘記、またはスターリンに転生した男の歴史改変記〜 @marumarumarumori
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