EP37:日出ずる国再び

スターリンの中身は日本人である。

そのため、日本と同盟を結んだ時は心の底から喜び、嬉しく思っていた。

というのも、彼にとって日本と同盟を結ぶこと=合法的に日本食が食べられるということだったので、スターリンは心の中でガッツポーズをしていた。

そして、今現在のスターリンはというと


「あぁ、やはりお餅は美味しいですね」


新年早々に田中義一によって日本に呼び出されたかと思えば、田中邸と共にお餅を食べていた。


「新年早々お呼び出しをしてすみません。しかし、これは閣下に関する重要なことでして....」


申し訳なさそうな様子でそう言う義一に対し、スターリンはお餅を食べながらこう言った。


「いえいえ、新年早々に自宅でグータラ過ごすよりかはマシですから」


その言葉を聞いた義一はクスリと笑うと


「....耳が痛い話ですね」


そんなことを言った。


「それで?私を呼び出したということは.......何かあったのですか?」


スターリンがそう尋ねると、義一はコクリと頷いたかと思えば.......彼に向けてこう言った。


「スターリン閣下....我々はお互いの志に共感し、そして同盟を結びました。ですが....」

「一部の軍人達がそのことに不満を持っていると?」


スターリンがそう言うと、コクリと頷く義一。

それを聞いたスターリンは、これは下手をしたら一足早く二・二六事件が起こるかもしれないぞと何となく察したのか、その顔は少しだけ曇っていた。


「総理大臣である私の力がいつまで持つかは分からない。だが.......」

「内戦だけは避けたい、ということですか?」


スターリンがそう言った瞬間、義一はそこまで理解してくれるのかという表情になった後


「.....お恥ずかしいばかりです」


と言った。


「いえいえ、国を纏める者ならば国の内部での争いを避けるのに力を尽くして当たり前ですよ。ですから、自分を卑下しないでください」


スターリンはそう言った後、再びお餅を食べると


「それに.......こういう時は暴力ではなく、言葉の力が勝るのですから」


義一に向けてそう言った。

一方、義一はスターリンが何かするつもりだと理解したのか.......目を見開いたかと思えば、彼に向けてこう言った。


「閣下....何から何まですみません」


その言葉に対し、スターリンは微笑むと


「私はこの国が好きなだけです」


義一に向けてそう言った。

スターリンの言葉を聞いた義一は、彼と同盟を結んで良かったと心から思ったのか、ありがとうと言った後、深々と頭を下げた。

そんな義一を見たスターリンは新年早々に大仕事が来たなと思いつつ、お餅を堪能するのだった。

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