第20話 新たな未来へ

美沙子を助けた後、リナと翔太は少しの間、静かに時を過ごしていた。微細たこ焼きがもたらした効果と、これまでの旅路を振り返りながら、彼らは一つの物語の終わりと新たな始まりを感じていた。


「これで、一つの区切りがついたね」とリナは、小さく笑みを浮かべて言った。


「そうだな。美沙子さんのように、心の中にある何かを解放できたら、俺たちの力が役に立ったと言える」と翔太は頷きながら返した。


微細たこ焼きはただの食べ物ではなく、人々の心を映し出し、深い感情を解き放つ力を持つ。しかし、その力をどう使うかはリナたち次第であり、彼らは常に慎重に行動してきた。美沙子との出会いが、その慎重さと優しさの意味を改めて彼らに教えてくれた。


ある日、リナは再び翔太に向き合い、これまでの経験を語り始めた。「翔太、私たちはこの技術を使って、これからも多くの人を助けていけると思う。でも、もう一度確認したいんだ。この技術を正しく使うために、私はもっと学ばなければならないと思ってる」


翔太は少し驚いたような表情を見せたが、すぐにリナの決意を感じ取り、頷いた。「そうだな。微細たこ焼きは力を持っているが、その力を乱用すれば逆に人を傷つけるかもしれない。お前が学び続けたいと思うなら、それが一番いい」


リナは静かに笑みを浮かべた。「ありがとう。翔太がいてくれたおかげで、ここまで来られたんだ。だから、これからも一緒に歩んでほしい」


翔太はリナの手を握り、しっかりと応えた。「もちろんだ。お前がどんな道を選んでも、俺はお前を支えるよ。俺たちは一緒に進んできたんだ。これからも一緒だ」


その後、リナと翔太は、微細たこ焼きの力をさらに深く学び、それを広めるための活動を始めた。だが、彼らは急がず、慎重にその力を必要とする人々に届けることを目指していた。彼らのもとには、時折、過去の出来事に苦しむ人や、自分の心と向き合いたい人が訪れるようになった。


ある日、リナのもとに一人の少年が訪れた。彼は、リナと同じように、家族との別れに苦しんでいた。リナはその少年に微細たこ焼きの力を伝え、彼自身の心と向き合う方法を教えた。


「微細たこ焼きは、君の心にある本当の感情を映し出す力を持っている。でも、それを見つけるのは君自身だよ」とリナは少年に優しく語りかけた。


少年はたこ焼きを食べ、自分の中に眠る感情を見つけ出し、涙を流しながら感謝を述べた。「お姉さん、ありがとう。僕、これから前を向いて生きていくよ」


リナは静かに頷き、「自分を信じて。君ならできる」と微笑んだ。


翔太はその光景を見て、改めてリナの成長を感じた。「リナ、お前は本当に多くの人を救っている。お前がこの道を選んだことに、俺も感謝してるよ」


リナは微笑みながら、「翔太が支えてくれたからこそ、私はここまで来られた。これからも、もっと多くの人を助けていこう」と答えた。


そして、月日が流れ、二人は微細たこ焼きを通じてさらに多くの人々と出会い、助けていった。リナは、祖父の遺志を継ぎ、微細たこ焼きを「救いの技術」として広め、翔太はその側で常に彼女を支えていた。


彼らは、微細たこ焼きの力を通じて多くの人々の心に触れ、助け続けるという新たな道を歩み始めた。それは、終わりなき旅でありながらも、希望に満ちた未来への一歩だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

微細たこ焼きの謎 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ