第6話


朝だ。


相変わらず手の痛さに

もがき苦しんでいた。


ほとんど、寝ることが出来なかった。


もうこんな想いは嫌だ。


お母さんがキッチンで

朝ごはんを作っている。


私はその隙に、お母さんの

財布から2万をとった。


2万も渡せば、ゆりはきっと

ご機嫌だろう。

ゆりの機嫌をとることだけが

今の私には考えられなかった。


学校に着く。

いつものようにゆりは私の所にやってきて


「用意できたの?」

と、にらめつけてきた。


2万を渡すと、ゆりは

「あんたもやるときは、出来るんじゃん!」

と、上機嫌だった。


2万を渡したからなのか

その日は体罰を受けずにすんだ。


でも、お母さんにバレてたら

どうしよう、なんて言おうと

そればかりが頭の中で回っていた。


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