爆弾魔の最期の恋

のう

爆弾魔の最期の恋

ムシャクシャした。たったそれだけの理由で作ってしまった爆弾をリュックにしまって、僕は電車に座っていた。この号車を爆破して、死ぬつもりだった。

――だけど爆発の約三分前、一人の女性が僕の目の前に座った。

控えめな雰囲気の、黒髪の美少女。正直、めちゃくちゃタイプだった。

顔が熱くなり、急激に鼓動が速くなっていく。

それと同時に、刻刻と進む時限爆弾のタイマー。

止めることのできない設定の爆弾に、手に汗がにじんでいく。

後残すところ一分弱。

いったい、どうすれば。



――20**年 *月*日 21時53分。 **線5号車が爆破された。

  死者3名(犯人を含む)重体1名 軽傷5名が確認されている。


なお、証言によると、犯人は爆発の1分前に、3号車から5号車まで走って移動した模様。

理由ははっきりとはわからないが、3号車にいた女性の手に、犯人の手書きとみられる、とても短いメモが残されていた。


「すきです。ひとめぼれしました」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

爆弾魔の最期の恋 のう @nounou_you_know

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画